ニコイチ【江口拓也】

第三十一話 ページ35

篠崎｢あ、鳴海先輩。おはようございます。｣

『おはよう。篠崎くん。』

相変わらず全然掴みどころがねぇな…。

篠崎｢鳴海先輩。髪、染めたんですね。｣

『あぁ…うん。まぁ。』

篠崎｢似合ってます。｣

『ありがとう。』

ふーん。
ちょっとだけ揺らいだか…。

江口｢おはようございまーす。｣

『江口先輩。おはようございます。』

江口｢おはよう。A。｣
((めっちゃ可愛い。愛してる。

篠崎｢おはようございます。江口先輩。｣

江口｢うん。おはよう。｣
((ちょっとさぁ、僕のAと距離近くないかな？離れて？

心の声だだ漏れじゃねぇか。

『今日、篠崎くんから録音するって監督から聞いてたけど。』

篠崎｢はい。緊張しますが、頑張ります。｣

ここは後輩ぶって心配を煽る作戦でいこう。
これでおちなかった先輩声優はいねぇから。

『そう。私もはじめての時は緊張したから。頑張ってね。』

あ、あれ？
そうでもない？
くっそ！なんなんだよ！
上手くいかねぇなぁ！

江口｢…。｣
((そんなんでAがおちると思ったのかな？見え見えの演技でおちるような女の子じゃないんだけど？Aの魅力がわかってる？ねぇ？

無言だけど視線がうるせぇし。

『？』

江口｢A。ちょっといい？ここの台本のところ確認したくて。｣

『はい。』

江口｢ありがとう。｣
((僕のAだから。

あー。
そーですか。
くっそ、腹立つな。

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