神の子4 ページ39
「私は……ずっと嫌だった。比較されるのが。精市の方が何でも出来るって言う話をしてたのを聞いて、少し苦しかった。
学校では、精市と仲良くなりたい女の子たちがそれだけの為に私に近づいては離れていく。どこへ行っても私は精市と比較され続けて。でも、家に帰れば精市は普通に過ごしてくれる。それだけが唯一の救いだったのに……」
Aはそこまで言うと、何かを考える仕草を見せた。そして再び話し始めた。
「あの日、精市から双子の妹だと思ってないって言われて、私は1人になったんだと思った。……私ね、その日から精市のこと、怖いんだ。そのときのあの突き刺すような視線が今も忘れられない。
……それから、精市が立海に行くって聞いて、私は知っている人がいない氷帝に行くことにした。そこでも、精市と双子なのがバレたら比較されると思ってた。でも、違った。景吾たちは私を幸村精市の双子の妹ではなく、幸村Aとして見てくれたことが嬉しかった。
それから、時遠に脅されてテニス部から離れて次は精市が倒れて。また1人にならなきゃいけないのかって思った。でも、待っててくれる人がいて、道を示してくれた人がいたから私はここまでやってきた」
そこで言葉を切ると、Aは俺と目を合わせてきた。
「……私は精市の不幸を笑ったことは一度もない。突き放されても、精市を嫌いになんてなれないから。大事な双子の兄だから。昔も、今も、これからも」
初めて聞いたAの本音はこんなにも強いものなんだと思っていた。
「……精市。私も、精市の本音が聞きたい。……話して、くれる?」
そう言われ、俺は一呼吸置いて話すことにした。
幸「俺は……」
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作者名:ちゃーきー | 作成日時:2024年2月15日 19時