恐怖症93 ページ38
精市と一緒に人が誰もいない所へやってきた。私たちは隣に座る。しばらく沈黙が続いていた。
「……(何を話せばいいの?4年くらいまともに話もしてないし……)」
そう思っていると、精市が口を開いた。
幸「……なんで言ってくれなかったの」
「別に……言う必要なかったし。なんとかなるって思ってたから」
幸「殴られてたなんて知らなかったんだけど」
「言ってないからね。誰にも」
幸「言ってくれても良かったのに」
「会ってもないし関わってもないのに言うわけないでしょ?」
やっぱり、私たちは言い合いになってしまう。それが気まずくて私はその場から去ろうと立ち上がる。歩き始めようとした瞬間、手首を掴まれた。
「……何?」
幸「……ちゃんと話、しようか」
そう言われて私は座り直す。私は精市の方を見る。
幸「……Aの本音が聞きたい。あの日から今までずっと、何を思って来たのか」
「……それを今更言って何になるの」
_____あぁ、やっぱり私は何年経ってもこの人のことを怖いと思っているんだ。だから何も言えないし、言いたくない。そう思っていた。
しかし、精市は再び口を開いた。
幸「怒らないし、何も言わないから。俺は、Aが今までどう思い続けてきたかが聞きたいんだ」
そう言いながら真っ直ぐ私を見つめてくる。私は一呼吸置いて口を開く。
「私は……」
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作者名:ちゃーきー | 作成日時:2024年2月15日 19時