左頬から流れる液体【WT】 (ページ8)

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もしかしたら､太刀川さんが言っていた新人はあの人なのかもしれない｡と食い入るように隠れながら見続ける出水｡
しかし､女性がさっきB級になったと言う話を聞いてそれは違うかと結論づける｡C級隊員は戦闘を許可されていないし､女性が許可を破ってまで戦うような人間のは見えなかったからだ｡

｢そういやなんで今日は本部に来たんだ?｣
｢迅さんから呼び出されたの｡多分､彼について…かな｣
｢あぁ､例の黒(ブラック)トリガーか｣

黒(ブラック)トリガーという単語に思わず動揺して体勢をを崩しかける出水｡今ここで体勢を崩して聞いたことがバレてしまったらダメだと瞬間的に思い､どうにか持ちこたえた｡
もし､女性が黒(ブラック)トリガーの持ち主だとしたらラービットを倒したことにも頷ける｡
やはりあの人が噂の新人なんだと期待と興奮でドクドクと胸が高まった出水は足音を立てないようにその場から離れて隊室へと駆け込むように入った｡
ゲームをしていた国近に何事かと驚かれたが出水はそれ所ではなくソファに座って惰眠を貪っていた太刀川を起こし､興奮気味に話す｡

｢太刀川さん!!前に言ってた新人って､黒髪の肩まで伸びた髪の毛の女の人っすよね!?｣
｢いや､違う｣

太刀川からバッサリ切られた出水は､じゃああれは誰なんだよ!?と心の中でツッコミを入れる｡
更に新人についての情報を得るために太刀川に執拗に聞き出すと､新人はショートボブヘアらしい｡だとしたら先程の女性とはかけ離れた容姿のため違うことになる｡

｢えー…絶対あの人だと思ったんだけどなぁ｡黒トリガー持ってるらしいし｣
｢どんな奴だ?｣
｢大人しそうな黒髪の女性です｣
｢あぁ､そういえばそんな奴を迅がスカウトしてたぞ｣
｢迅さんのスカウト!?嘘だろ…｣
｢まぁ関係ないだろ｣

迅のスカウトと聞いて更に何者なのか分からなくなり､困惑し始める｡
実際に新人と会って黒トリガーを見たという隊長の記憶の中の新人と､今日会った女性が違うとしたらいつの間にボーダーは黒トリガーを2つも手に入れたんだ?と疑問を持ち始める出水｡
この隊長の事だから､女性の事を忘れかけているのではないかと考え始め､出水は勝手に女性は噂の新人だと思う事にした｡

そして暫くして､三馬鹿で女性に話しかけてやはり新人が女性である事を確認が取れた出水は､隊長である太刀川慶の言葉を思い出してため息をつくのであった｡