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第3話 ページ4
ガラガラッ
ドアを開ける音がしてお客さんが入ってきたことに気づく
『いらっしゃいま、』
そこにいたのはなんと三輪君で。
『三輪君！今日も来てくれたの？』
「ああ、これから防衛任務だからお昼ご飯にと思って。」
『そっか、いつものざる蕎麦で良いね？』
今日も三輪君1人か。やっぱり私の予想的中かな。
四年と半年前、それくらいまでは三輪君はよく黒髪ロングの美人とうちに来てた。
三輪君はその美人さんのことを姉さんと呼んでたから多分お姉さんかな。
お姉さんと話してるときの三輪君は凄く楽しそうな顔で笑ってたのをよく覚えてる。
幸せなんだなあって思ってた。
だけど、あの日突然起きた第一次近界民侵攻。
私の家族は父さんも母さんも無事だった。
だから、被害がだいぶ落ち着いてきてすぐ蕎麦屋を再開できた。
でも三輪君もお姉さんもうちにしばらく来なくなった。
あんなことがあった後だし、忙しいのかなとおもってた。
でもあまりにも顔を見てないから心配になってた頃。
なんの前触れもなく三輪君がうちの扉に立っていて、
突然のことにびっくりしたけど、良かった生きてたんだなって思いながら接客した。
「ざる蕎麦で。」
って言う三輪君の言葉はいつもとなにも変わらないのに、声が、顔が、いつもと違った。
少し掠れた声と目の下にできた深い隈。
そして何より、全て失った、絶望したという表情が、明らかに違った。
なんと声をかければ良いのか分からなかった。いや、言葉は浮かんでた。
こちらが干渉すればフッと壊れそうな消えそうな気がして怖かった。だから声をかけられなかった。
さらに間が空いてまた三輪君だけで来店してくれた。
そのときの三輪君の顔は感情をぶつける場所ができたみたいな。前より晴れた顔をしていた。
それでも三輪君のお姉さんを見ることはなかった。
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作者名：無垢のさおん | 作成日時：2024年4月28日 21時
