【黒執事】許嫁に愛を籠めて II【チャールズ・グレイ】 (ページ4)

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#54 奥ゆかしき君ページ4

【ポストマン】

散々、弄ばれた身体を引き摺りながら別室から戻ってきたA。肉体も精神も何故か疲れきっている。げっそりとした顔で息を吐いた。

興奮し、体力が有り余るニナに付き合うのは相当辛いものなのだ。ぼんやりとした足取りで、豪華な食事の待つ庭とへ踏み入れた瞬間。

「うわ～～ん、A～!!」

『う、くっ……』

ものすごい勢いで白い物体がタックルをしてきた。正確に言えば、グレイが泣き真似をしながら抱き付いてきた。普通に痛くて嫌だ。

息が捻れて詰まったような声を出して、何とかグレイを抱き止める。フィップスにジトッとした視線を送るが、彼には全く伝わらない。

フィップスが一緒に居たのだから、このじゃじゃ馬伯爵をどうにかしてほしいものだ。もう一度溜め息をついて、グレイに視線を向けた。

『……もしかして負けたの?』

「ホラ、見てよコレ!!」

『あらあら、まあまあ。可愛い雛ね』

「どうやら俺達の卵は有精卵だったようで、途中でヒヨコが生まれて卵が割れてしまったんだ」

『ふふ、それで負けたのね。残念だこと。チャールズ、いつまでも拗ねてないで』

「だって……。あれ。何かA、疲れてない?大丈夫なワケ、顔色悪いけど」

『……嗚呼、うん。ちょっと色々あって』

なんて会話をしている間に、シエルがエリザベスにイースター・エッグを渡した。それをグレイは唇を尖らせて不満げに見ている。

ゲームが終わったからか、テーブルに並ぶ食事に各々が手をつけ始める。どれも素晴らしいもので思わず感心してしまっていたが。

本来の用事はこれではない。

「ってそーだ。ボクら遊びに来たんじゃないんだ。はいコレ、ラブレターだよ」

グレイが懐から手紙を出し、シエルに渡す。その手紙の封蝋は王室のもの。即ち、女王陛下からの手紙である。そしてそれは仕事(･･)。

『陛下からの手紙、お受け取りください』

＿＿＿＿＿＿それは謎のメッセージ。