髪型、どうでしょう ページ31
……だいぶ髪が伸びた。
前髪がうっとうしくなってきた。
切るか切らないか。
染めるか、染めないか。
仕事で髪型と色が決まることの少ない俺は、意外にもグループ内のバランスを見て決めていたりする。
メンバーの今の髪型と、過去の俺の髪型……
楽屋にいるあいつらと、スマホの中の写真を眺めつつ考える。
左肩にぼすんと何かが当たったと思ったらそのまま視界に髪の毛が。
「なぁーに見てんの？」
「そろそろ髪を切ろうかと思って」
「ふーん」
くるくる頭。お前は相変わらずそのままなのだろうか。
「いっそこのまま伸ばして縛ってみたら？メンバーと被んないでしょ」
「あー、そっちの手があったか」
たしかに髪を結ぶメンバーは少ない。デビュー当時の大我くらいか？
「それか前髪ガッとあげちゃうとか」
北斗にガバッと前髪を掴まれ、そのままスマホのインカメラで確認するよう促される。
「ほ〜う、これなら踊る時も邪魔になんね〜わ」
「結んで上げてもいいし、ワックスで固めてもいいでしょ。編み込みで公演ごとにアレンジきくし、エクステつけるのもありじゃない？」
俺がコンサート一公演ごとに何かしらの変化をつけたいことをメンバーはもちろんだが、中でも特に北斗は気にかけてくれている。これまでも色々相談にのってもらっている。
「じゃぁ〜このまま伸ばす方向で、少し整えるだけにするわ」
「俺の意見全部通ってるけど、いいの？これで」
「北斗のこと信頼してるからー」
「ははっ、なにそれ」
そう言いながらも嬉しそうに北斗は笑った。
「というか北斗も前髪長いから前髪だけちょんまげでお揃にできるじゃん」
「えー……」
「なぜそう言うところは嫌がる」
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作者名：八郎 | 作成日時：2023年8月2日 21時
