浮き沈み七度 1 (ページ4)

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ある日の楽屋にて3 ページ4

当時、ステージの袖でファンの悲鳴と歓声を聞きながら「よかったなあ」と他人事のように思っていた。
なんせ高校生を過ぎ、大学生にもなってグループに入ってなければもうデビューできるとは思っていなかった。

というかデビューと言うものへの欲求も他の人に比べれば薄く、どこかのタイミングで退所して、ダンスをもっとやりたいと思っていた。
どこかで踊り続けられれば、それでよかったのだ。
　
もう一度客席から歓声が聞こえてきた。
しかし明らかに一回目とちがうどよめきと六人の困惑の声も聞こえてくる。なんだろう？なにかトラブル？
いや、追加でサプライズ発表されたのかな？

変わらず他人事のように思考にふけっていると、ジェシーが超特急でステージから走ってきた。
「A！！！来て！」
「えっ？なん「いいから！」

ジェシーに左腕を掴まれ引きずられていくようにステージに出る。すでに現在に近い身長差が出来上がっていたので、その手を振り解くことはできなかった。
「ねえ！見て！」
ステージ上で顔を両手で挟まれ画面に向けさせられる。そこには「AA、SixTONESに加入決定！」の文字。

「えっ、えーーーー！！！！！？？」
　
マイクを通さず発してしまったが、十分客席には届いていたようで、会場内の熱がさらにうねった。
口をパクパクさせながら、みんなの顔を見ると、全員思いっきり頭を横に振っていた。誰もが聞いてない！って顔をしていた。

そんなこんなで、俺はいきなり初めてJr.のグループに所属することになり、数年後デビューを果たすこととなる。

「……だから、メンバーが『お前は加入メンバーじゃない』と言い続けても、俺は『唯一の加入メンバー』って言い続けたいんですよ。なんか、かっこよくないですか？(笑)」