真夏のスコール2 ページ19
突然家のチャイムが鳴った。
今日は来客の予定も、荷物が届く予定もない。突然やってくるとしたら家族だろうか？
インターホンの画面を見ると、濡れそぼった大男がいた。
「……ジェシー？」
「あ！Aいた！いきなりごめん！ちょっと風呂借りていい？」
「は？」
何故か全身ずぶ濡れのジェシー。
仕事を終えて家に帰る途中であの大雨に降られたらしい。今日は一日晴れの予報で、折りたたみ傘も持っていなかったと。
「で、雨ぜんぜん止まなそうだし、あ、ちょうどAの家の近くじゃん！って」
「俺が家にいてよかったな。雨に感謝しろ」
「でも雨降らなかったら俺も寄る必要ないじゃん？」
「それもそうだな」
風邪をひかれても困るので、玄関からそのまま風呂場にジェシーを連行。
濡れた服を回収して、脱水にかけられそうなものは洗濯機に放り込む。
クーラーとサーキュレーターの力でどこまで乾くだろうか。
乾かなきゃ俺の服を貸せばいいのだが、サイズが絶妙に合わないだろう。
つんつるてんになるかな。ははは。
そんなことを考えつつ、やかんを火にかける。
「スッキリしたー！」
20分ほどして脱衣所から声が聞こえてきた。
「とりあえず俺の服でいいよな？できるだけデカいの選んでおいたけど、キツかったら悪い」
「Thank you,Iori.」
「急に英語になるな」
声が聞こえなくなったと思ったら、ドライヤーの音が聞こえてきた。
「いやー、Aのシャンプーとトリートメントめちゃくちゃいいね」
「そりゃ髪のケアはちゃんとしないとだからな。あれ高いぞ」
ちなみに今の俺の髪色は珍しくおとなしい。茶色だ。
「なんか飲むだろ？冷えたからあったかい方がいいだろ」
「じゃああったかい水」
「それはお湯じゃないのか」
「HA!」
「お湯どころか沸かし続けて白湯になってるけどな」
自分の分と合わせてマグカップを二つテーブルに置く。
「あったけぇ〜」
風呂に入ったとはいえ、冷え切っていたのか、白湯の入ったマグカップを両手で覆っている。
「あれなら帰り車乗っけてくよ？どうせ俺も出かけるし」
「マジ！？やった♪」
ジェシーにハグされる。
反応がアメリカン。
すっかり慣れたが昔はかなりむずむずした。
嗅ぎ慣れたシャンプーの香りが鼻を掠める。
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作者名：八郎 | 作成日時：2023年8月2日 21時
