86 ページ43
〜時透視点〜
時透 「霞の呼吸、壱の型 垂天遠霞。」
っ!くそっ!
この突き技でも破れない。
こんな刃こぼれした刀じゃ当然か。
さっきあの二人をかばったとき
針が全身に刺さった。
その上毒針だ。
この状態で水牢に沈んでいる。
息はできないし技も効かない。
だめだな。終わった。
応援が来てくれるといいけど。
お館様。
俺は死ぬから、せめて二人、柱を頼みます。
『どうしてそう思うんだ?』
…え?
『先のことなんて、誰にもわからないのに。』
なんだ?
違う。
炭治郎にはこんなこと言われてない。
言ったのは…誰だ?
ああ、
視界が狭窄してきた。
死ぬ…
空気が尽きた。
『自分の終わりを自分で決めたらだめだ。』
俺の目の前に現れた炭治郎は言う。
俺、
君からそんなこと言われてないよ。
『絶対どうにかなる。あきらめるな。
絶対誰かが助けてくれる。』
なにそれ。結局人任せなの?
一番駄目だろうそんなの。
『一人でできることなんてほんのこれっぽっちだよ。
だから人は力を合わせて頑張るんだ。』
誰も僕を助けられない。
みんな僕より弱いから。
僕がもっとちゃんとしなきゃいけなかったのに判断を間違えた。
自分の力を過大評価していたんだ無意識に。
柱だからって。
『無一郎は間違っていない。
大丈夫だよ。』
いくつも間違えたから僕は死ぬんだよ。
すると、水牢の外から包丁が刺さった。
小鉄 「死なせない!!
時透さん頑張って!!」
…何やってるの。
小鉄 「くそォ!なんだこれ!
ぐにぐにして気持ち悪い!」
僕が斬れないのに、
君が斬れるはずない。
僕なんかよりも優先すべきことがあるだろう。
里長を守れ。
…そんなこと君には無理か…。
でも、せめて持てるだけ刀を持って逃げろ!
すると、背後から玉壺が作った怪物が現れていた。
何してるの!
後ろだよ!!
僕は口で伝えようとぱくぱく動かすけど、
気づいてくれない。
気づいて後ろに!!
小鉄くんはとうとう斬られた。
小鉄 「痛っ…!!
うわあ!!血だ!!」
なにしてる!!
なにしてる!!
早く逃げてよ!!
早くして!!
65人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ