70 ページ27
時透 「それじゃあ、行ってくる。」
翌日、彼は少しの間この店にいた。
そしていよいよ出発しようとしている。
A「待って！」
私は彼を呼び止めた。
時透君がこちらを振り返ると同時に、
懐から文を取り出した。
A「時透君が遠くへ何日も任務に行くとき、
毎回思うの。私を忘れてしまうんじゃないかって。
だから、忘れないようにこれを渡しておきます。」
時透君は私から文を受け取った。
時透 「忘れるわけないでしょ。」
その文を懐に入れる。
時透 「どれだけ君のこと考えてると思ってるの。」
A「どれだけ？」
時透 「四六時中。」
A「嘘だ。」
時透 「本当だよ。」
A「そんなわけないじゃないの。わかりやすいんだから。」
時透 「…事実なんだけど。」
本当にそうだったら飛び跳ねるよ私。
時透 「でも、Aを近くに感じるから持っていくね。
ありがとう。」
心臓に悪いことを…。
でも、持っていってくれるんだ。
これでちょっとだけ心配事が減った。
A「生きて帰ってきて。約束ね。」
時透 「Aもね。
僕が生きて帰っても、Aが鬼に食われてたら絶対に喜べないから。
お願い。約束して。」
A「うん。勿論だよ。」
時透 「外に出かけるときは、必ず柱の人と一緒に行って。
できれば女の人ね。」
A「？うん。」
…急にどうしたんだろう。
〜時透視点〜
時透 「いい子。またねA。」
Aの頭を撫でて、店を出た。
Aの兄である平助が言っていた、
Aが死ぬ予定である今年。
多分、僕がいない間に突然起こると思う。
里での戦闘訓練を決め、お館様に相談して、
決定したあとに気付いた。
Aが今年で死ぬかもしれないこと。
二年前のあの日から、平助とは会ってない。
未来が変わっていないのなら、Aは今年死ぬ。
Aのそばにいるって、平助と約束した。
いてあげられるときはいる。
でも、僕は鬼殺隊であり、柱。
毎日片時も離れずに一緒にいることは不可能だ。
いたいのはやまやまだけど。
僕がいない間になにかあったらって、毎回思う。
僕の代わりにAを守れるのは、柱だけだと思う。
そして何故か分からないけど、男の人とは一緒にいてほしくなかった。
だからああ言ったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
