好きになって【レイクレ】 (ページ8)

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　「本当にありがとうございました」

深くお礼をして事務所から出て行く

１日だけだったけど
みんな優しくて面白くていい人たちだった

“またおいで”なんて言われたけど
次はあるのだろうか

タクシーを呼ぼうと携帯を取り出した瞬間
後ろから腕を引っ張られ引き寄せられる

後ろを振り返れば
どこか寂しそうな表情なてっちゃん

て「俺送ってく、１人じゃ不安やし…」

　「え？いいよ、タクシー呼ぶし」

て「いいから車乗って」

断る理由もないし
むしろてっちゃんと少しでも長く居たいと思っていたから
少しだけ…いや、結構嬉しかった

　「本当にごめんね

撮影とかあるなら無理しなくていいのに」

て「…今日は日曜やから休み」

　「そっか」

横をチラッと見れば
真剣な表情で運転している姿がとてもかっこよく見える

信号が赤になり車がゆっくり止まる

そして目があった

　「あっ、ごめん、

見られてたら運転しづらいよね」

てっちゃんは彼女居るのだろうか

いやこんなにイケメンなら居ない方がおかしいか

てっちゃんと知り合って１日なのに
何故か気になってしまう

そんなキモいこと考えてたら
引かれるに決まってる

て「ねえ…Aって彼氏おるん？」

　「っ…い、いないけど」

て「そうなんや

可愛いし料理できるし彼氏おると思ってた」

“可愛い”ただシンプルな言葉なのに
身体中が熱い

心臓の鼓動も速くなる

急にてっちゃんの顔が見れなくなり
車の窓を開け外を眺めた

　「…てっちゃんは？

彼女いるの？」

て「__おらんよ」