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第202話 ページ5





アンリside



なぜこんなにも余裕そうに構えていられるのか、それが私は不思議でならない。

契約違反(・・・・)、それは対象魔Aの管理権限が悪魔学校(バビルス)からなくなり、魔関(ここ)へ連行される可能性が限りなく高くなることを指している。
のにも関わらずこの余裕な表情。



 まるで…まだ何かがあるような表情(カオ)

 あるいは何かを企んでいる……?



真剣でありつつも、瞳の奥で薄ら笑みを浮かべている悪魔学校(バビルス)教師に思考を巡らせる。
すると、不意に教師の手元にある茶封筒に気がついた。いつも対象魔の報告書を入れている、A4サイズの封筒だ。





「…それはいつものものか?」





「えぇ、これはAが失踪する直前までの情報をまとめたものです。
新しく得た情報もいくつかあります。



………が、お譲りすることはできません。」





その言葉で彼の態度の意味を漸く理解した。



 契約違反であるのにも関わらず余裕でいられたのは…


 ……魔関署(我々)と交渉するためだったのか



契約違反となれば悪魔学校(バビルス)が魔関へ情報を共有する義務もなくなる。
この教師はそれを見越して報告書を持参し、私へ交渉を持ちかける腹積もりなのだ。



 交渉をしない手もあるが、

 報告書の中にAを魔関(ここ)へ連行するための証拠がある可能性も拭いきれない



交渉せざるを得ない、という解答が脳内で出た時、小さな溜息が自然と口から漏れた。





「何があれば譲ってもらえるんだ、」





私の言葉に待ってましたと言わんばかりに目の前の教師は目を細める。





「 " 彼 " の行方不明は全く予想外の出来事でした。

それほど我々はAくん(・・)のことを知らなすぎた……」





「……つまり、魔関署の持つ " A " の情報が欲しいということか。」





勘のいい悪魔だ。
我々がAに関する有力な情報を得ていることに気づいている。



 油断の隙もないな……



再び溜息が漏れた。





「…いいだろう、キミの思惑通り交渉成立だ。
だが、情報の共有はくれぐれも気をつけてくれ。



………彼の情報は魔関署の中でも機密事項だからな。」



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紫咄(プロフ) - ティアさん» コメントありがとうございます!面白く新鮮な話を書くのが作者の目標なのでとても嬉しいです✨これからも頑張ってまいります! (4月2日 0時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
ティア(プロフ) - 春休みなのでシリーズ最新まで一気見しました!!すっっっごく面白いし泣いてしまいました………続き楽しみに待ってます!!頑張ってください!!! (4月1日 7時) (レス) @page31 id: 9f0c7fadf2 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 夕宙さん» ありがとうございます!シリーズ1からは嬉しいです…泣作者の書きたい放題に思案しながら書いているのでとても励みになります!これからも頑張ります! (3月9日 15時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
夕宙 - シリーズ1から読ませてもらってます。無性くんのキャラというか性格というか、とにかくキャラ設定やストーリー大好きです(語彙崩壊)。続きが気になる……!これからも頑張ってください!応援してます。 (3月9日 13時) (レス) @page21 id: 6731466818 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 久遠さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉✨作者もエイト先生は大好きです!これからも頑張ります! (3月5日 20時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫咄 | 作成日時:2024年2月11日 21時

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