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案の定、キリヲくんのそれは告白だった。
そして罪悪感と共に、私は彼の言葉を遮って断りを入れれば、彼が隣で沈黙したのが分かった。
私はそっと口を開く。
『私ね、女の子が好きなの。
だから、ごめんね。』
相変わらず彼の顔は見れなかったが、恋愛対象が同性だと言ったことに後悔はなかった。あるとすれば、今、彼の顔に私への嫌悪感が浮かべられていることだろう。
私が同性愛者だと知れば、
キリヲくんは私を嫌う…かなぁ……
長いような短いような、暫くの沈黙の後にキリヲくんは怪しく笑い始めた。
「知ってたで、Aちゃん」
『………え、?』
思わぬ言葉に驚いて彼を見れば、キリヲくんは微かに息を荒らげ、頬を赤くし、まるで興奮している宛らに私を見つめては嬉しそうに笑んでいた。
おかしい、
やっぱりいつものキリヲくんじゃない
『ど、どうしたの、キリヲく……』
「好きな食べ物、嫌いな食べ物、得意な教科から女の子が恋愛対象なんも、全部……
調べ尽くしたんよ」
じりじりと近寄られれば、彼の吐息が聞こえた。重ねられていた手はするりと指が絡められ、やがて恋人繋ぎのようになる。
徐々に恐怖が込み上げてくるのが分かった。
『なん、で……』
「君が好きやから、何でも知ってんで。」
『…………っ!』
握られた手が畳に縫い付けられ、どさりと倒れ込む。私の腹部に彼が跨り、至極楽しそうに口角を吊り上げている。
「恋愛対象外なら、その気にさせればええだけの話
Aちゃんが押しに弱いんも、調査済みやからなぁ」
『は、離して……!』
逃げなきゃ、そう本能が警報を鳴らす。男女の差はあれど、身体の弱い彼なら全力で抵抗すれば何とかなるはず。
そう思い抵抗しようとするが、込めるどころか抜けていく力の感覚に混乱し始める。
なんで………
頭に浮かぶたくさんの疑問に一度冷静になって自分の行動を思い出せば、恐ろしいことに気づいた。
まさか…………
お茶に入っていたのは…… " 睡眠薬 " …!
だとすれば最初から全て分かっていて…
恐怖で睡眠どころではないにしろ、力が入らないあたり、しっかり身体には効果が出始めていることを自覚する。
初めからキリヲくんは私を逃がすつもりはなかったんだと、そう考えただけで絶望するには充分だった。
「ええ顔してんで、Aちゃん…♡」
終
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【 降魔の儀 】&【 エイト 】--- 無性くん→←【 告白 】&【 キリヲ 】--- 女主
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紫咄(プロフ) - ももさん» レスありがとうございます!楽しく読んでいただけたようで嬉しいです! (2月28日 23時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 紫咄さん» リアルのほうで色々あり、ずっと見に来れずですみません……小説、最高でした…!おかげでニヤニヤが止まりません( 神作品をありがとうございます! (2月28日 22時) (レス) id: 710a8daeb1 (このIDを非表示/違反報告)
ぼーる。(プロフ) - 紫咄さん» こちらもドンピシャでした…!ありがとうございます! (2月16日 15時) (レス) id: f43dd9d3e3 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - ぼーる。さん» リクエスト完了いたしました!前回のお話が解釈一致で安心しました…!二度目のリクエストありがとうございます!楽しく書かせていただきました!お話の改変や新たなリクエスト等あればまたコメントにてお願いします。 (2月13日 14時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼーる。(プロフ) - 紫咄さん» 書いて欲しいものそのままでずっとニヤニヤしていました…!続けてのリクエストですが、『子供が産まれてみた』(女主)で書いていただけるでしょうか…?お願いします…! (2月7日 10時) (レス) id: b3d9f0a76a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫咄 | 作成日時:2023年5月7日 12時