第30話 ページ31
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貴方side
消毒液の匂いと、タバコの匂い。
とてもその場には矛盾している二つの香りが、ボクの目を覚まさせた。
想像通り、目を開ければそこは医務室だった。
『……ここ、禁煙ですよ。
________イフリート先生、』
名前を呼ばれたからか、それともボクが目覚めたことに対してか、黒髪の悪魔はにこりと笑んだ。
「煙草でも吸ってなきゃ落ち着いてられないからね、」
『呼吸するように虚言を吐かないでください。』
「本当なんだけどなぁ…。」
満更でもないようにしょぼくれた先生がボクの寝ているベッドに腰を下ろし、それで?、と煙を吐いた。
「僕はキミになんて言ったっけ?」
『…………。』
想起するほどでもなく容易に思い出せるが、それを素直に聞いたかと言えば答えは否だ。
居心地の悪さにボクは視線を逸らすと、反省を促すように先生は続ける。
「言ったはずだよ、" 危機感を持ちなさい " と。
…………………………それとも、」
人差し指と中指の間にあったタバコが一瞬にして小さな炎に巻かれ影もなく焼失し、枕元に片手を着いた先生が顔をぐっと近づけた。
……………近
つい最近
いつもより近くで香る先生の匂いによく分からない奇妙な感覚を覚えていると、先生が布団を剥ぎボクの腹部を服の上からなぞる。
「…………君には特別授業が必要かな?」
『…………っ、』
嫌でも
『必要ないで、す……?』
…………あ、まずい
……………………
「………………あれ?」
瞬時に自分の起こした行動を後悔した。
知らない薬を打ち込まれ、魔力を大幅に奪われた挙句の魔術の使用と戦闘、今のボクの状態はどう考えても " 絶対安静 " の身であるはずだからだ。
身体を動かすことなんてできるはずがない、とボクを除き誰もが思うはず。
「なんでキミ、動けるの………?」
『………これは…、』
ベッドの上で唖然とする先生に何か筋の通った嘘を即興で並べようとするが、どうにも思いつかない。
その時、
「あーーっっ!!」
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紫咄(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます!全員推し分かります!皆が皆良いキャラでいくら書いても書き足りないくらいです笑これからも更新頑張ります! (6月7日 19時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私愛され大好物なので嬉しいです!魔入りました入間くんのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月7日 19時) (レス) @page5 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - ガイさん» ありがとうございます!頑張って執筆しますのでまた読みに来てくれると嬉しいです! (2023年4月30日 14時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
ガイ - 面白かった。←いつもは、こんなキャラじゃありません!!(*/□\*)かぁ〜// (2023年4月30日 14時) (レス) id: 5793000cce (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!とても励みになります!これからも頑張って執筆していきますので読んでいただけると嬉しいです。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫咄 | 作成日時:2023年1月1日 23時