#39 ページ40
2時間余り経ち、ドラコは禁じられた森に入り、ミルハを見つけた場所の近くで待機をしていた。
(もうすぐでミルハが来るはずだ。そして、あの忌々しいぺティグリューとかいうやつも…)
できることならミルハを助けるついでにぺティグリューを殺してしまいたかった。だがハーマイオニーにきつく｢殺してはダメ。世界の歯車が狂ってしまう｣と言われた。正直、あんなやつの言うことを聞くなんてと思っているが、ミルハのため、ミルハのため…と自分に言い聞かせた。
その時、ガサッと音がした。ミルハが来たのだ。ドラコは心の中でハーマイオニーに教えてもらった治癒魔法を心の中で何度も唱えた。
ミルハはキョロキョロと辺りを見回している。すると、ミルハが｢スキャバーズ!?｣と声を上げる。やはり、ウィーズリーのネズミだったか…とドラコは思った。次の瞬間、スキャバーズがみるみる大きくなり、人の姿になった。小柄で、頭のてっぺんが禿げている。
(あれが…ぺティグリュー…)
｢き、君…君は…シンディーにそ、そっくりだ…目の色は…ア、ア、アンドレのと同じ色…まさか…｣
草陰からそっと、2人の様子を伺う。ぺティグリューのその言葉に、ミルハは酷く困惑しているようだった。
(シンディー？アンドレ？なぜだ、聞いたことのある名前…)
ドラコが知るわけが無いはずだが、なぜか彼には聞き覚えのある名前だった。誰だろうと考え込んでしまう。
｢ディフィンド、裂けよ！｣
ドラコを正気に戻したのはぺティグリューが唱えた呪文だった。呪文は彼女を直撃した。
ぺティグリューが逃げ出し、ネズミに戻った。殺したい衝動に駆られたが、ミルハを助ける方が大事だと言い聞かせ、草むらをかき分け、倒れたミルハのそばに座る。
｢エピスキー、癒えよ！｣
杖を構えて、ミルハに向かって叫ぶ。金色の光が杖から出て、ミルハに当たった。傷跡がするすると消え、出血も収まった。多少のかすり傷が残るが、生命を脅かすほどではない。苦痛に満ちていたミルハの顔が、少しばかり穏やかになった。
ミルハの首筋に手を当てる。正常な脈がそこにはあった。ほっと一息付き、ミルハの白い陶器のような肌を撫でる。人の温もりだった。
｢よかった…助けることができて｣
その時、ガサガサと音がした。そうだ、もう少しでこの時間軸のドラコが来る。
｢また後で、ミルハ｣
ドラコはそう言うと、ミルハの額にキスをした。
あとは過去の自分に任せるとしよう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 428人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えま - とっても読みやすいです！ドラコ推しだから感激しました、、！ほんとに大好きです！ (2022年3月22日 13時) (
レス) id: 6cc22acf6a (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - zx2to5さん» ひゃあ！ありがとうございます！応援嬉しいです、頑張ります!!! (2021年7月23日 16時) (レス) id: c2fcd2c505 (このIDを非表示/違反報告)
zx2to5(プロフ) - とても読みやすくて、一気に読んでしまいました！連載大変かと思いますが頑張ってください。作者さんの原作愛が伝わってきました(^^) (2021年7月20日 0時) (レス) id: 6bc55a23b1 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 私さん» 不快に思われてしまったのなら申し訳ございませんでした。ただ私の解釈としては｢グリフィンドールの赤｣ではなく｢夢主の色である赤｣として書いていました。ご理解頂けると幸いです。一応変更させて頂きます。申し訳ありませんでした。 (2021年6月6日 18時) (レス) id: a1339067a5 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - というセリフは、キャラクター性を否定していると思い、不快に感じました。これはれっきとしたキャラ崩壊であるため、注意書きなどして欲しいです。長文失礼しました。 (2021年6月6日 7時) (レス) id: 1d04dc23cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みやこ | 作成日時：2021年5月24日 20時
