正義のヒーロー達の中・短編集 (ページ43)

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「監察医なんでなぁ？死んだ人の言いたいこと、残したこと、それを遺族に伝える。それが自分らの仕事だから」

「それに、見てればわかる。小さい頃からお前の世話とか大人になってもお前を両親の代わりに支えるために頑張って働いたり」

「そんな人がこんな大事で可愛いと思ってる妹に人殺しになって欲しいなんて思ってると…………本気で思ってんのか……？」

貴利矢は怒ったようにAに訴えた

怒っている貴利矢は滅多に見ないせいで恐怖さえ感じた

そして貴利矢が伝えてくれたこと、そのことを振り返ってみるとお姉ちゃんは私のために色んなことを精一杯頑張ってくれてたし………………

そんなことを思うと今していることの重大さが身に染みてわかった

そんなAの姿を見て貴利矢はどんどん距離を詰めていき、やがてナイフの刃の先が喉に当たっているんじゃないかと思うほど近くの距離にきていた

「ひぃっ………はぁっはぁっ………」

それでも、もう後に戻れないと思ったAは涙でボロボロな瞳で貴利矢を見つめる

「自分も姉ちゃんも、Aにはちゃんと幸せになって欲しいんだよ……」

「っ、……はっ……ぁあ……」

そんなことを言い優しい目で見つめられ、自分のやっていることがどれだけ周りに迷惑なのか、やっぱりお姉ちゃんが居ないと私はダメなんだな、と後悔が押し寄せてきてナイフを手放した

「はっ、はぁはぁ………ッん…はぁっ……」

「A、自分が居る。だから大丈夫、心配すんなっ！」

私の気持ちを読み取ったかのように欲しい言葉をかけてくれた

結局その後あの男は逃げていたが警察沙汰にもなっていたため捕まったらしい

私は罪にもならず何も変わらない日常を過ごしている

ただ一つ変わったのは貴利矢と過ごす時間が長くなった

あの一件からお姉ちゃんのことが心配だからかなって思って

「お姉ちゃんのこと……別に貴利矢がそこまで思うことないよ……」

「いいや、姉ちゃんの代わりに自分がAの傍にいてやる」

「そ、そう……？」

「まぁ……自分が居たいだけだけどなぁ笑」

「ほ、本当に……？」

ちっちゃい頃から貴利矢のことが好きで……ちょっとだけ期待しても良いのかな…………？

「ほんと、ほんと笑」

そうやって笑うから私もつられて笑う

お姉ちゃん……私、お姉ちゃんに支えられなくてもちゃんとひとりで……いや貴利矢とか周りのみんなでちゃんと幸せになってみせるよ！

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次のお話！