第七章 ページ19
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北斗「はぁっ、…はぁ、はぁ…」
樹「…ほく、と」
目の前にはズタズタになりボロボロの鬼のからだ。
微かに息はしているもののもうすぐ死ぬ。
北斗がその鬼を見つめる瞳は正直"生きてない"そのは表現が1番相応しいと思う。
北斗「…何故だ、罪もない、両親を何故殺した？」
康二『んぐっ…』
もう死ぬというのに彼は血だらけの鬼の上に馬乗りをして首を絞めていた。
北斗「…元人間なら…命の重さや、痛みくらいわかったであろう…なぜっ、」
樹「……ほく、やめろってそんなにやったら」
"お前の手が怪我しちまう。"
鬼の首についていた刺青もズタボロ。
北斗の爪によって削られてしまって、もはや…あの鬼舞隊の一員からは程遠い姿。
北斗「返してくれよまだ言ってないことが沢山あったんだ。俺の…俺の家族を返してくれよっ、」
康二『うぐっ、…ひぃっ、…はぁ、』
そういう北斗は今までのどんな北斗よりも
小さく儚く見えた。
綺麗な羽織も今日ばかりは霞んで彩りが悪く見えた。
康二『ぐはっ、ｸﾞｱｯ､』
北斗「お前はっ、家族を失った気持ちがわかるか？
家族がある日突然殺されるこの苦しさが
ある日突然、帰ったら家が1色変わっていたこの気持ちが…！！！！」
康二『い゛っ…ひぃっ、…』
刀で何度も、何度も、康二を斬りつけていた。
ざしゅっ、ざしゅっ、と刃が当たる度に黒い液体が飛び散る光景。
涙を流したがら、目を充血させながら
まるで狂ったように刃を当て続けていた。
樹「北斗、」
北斗「なぁ、…なぁ、…なぁ…！」
樹「北斗！！」
やがて鬼は目を開けたまま動かなくなった。
息もしていないようで次第に辺りは明るくなった。
北斗「はぁっ、はぁ、」
樹「…もう、死んでるから…」
北斗「…っ、」
樹「…もう、紅月が沈んで、日がでてきたよ」
やがて彼が変えた時間は彼が死んだことで戻った。
夜で紅い月が出ていた数分前とは思えないほど
キラキラと光る太陽が昇ってきた。
ジリッと照りつける太陽は俺達を照らし、
やがて鬼を焦がした。
樹「…北斗」
�眞蓮嵋姪様諭�」
北斗「…」
目黒「樹様！お怪我は」
樹「ああ、大丈夫…」
ジェシー「京本さんは救護隊に運ばれました。」
�眞蓮嵋姪様諭�」
振り返れば完全に脱力する北斗がいた。
なぁ、これでひとつ終わったぞ。
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沙羅(プロフ) - あさん» ありがとうございます！とても嬉しいです。樹くんと北斗くんの2人の性格の違い、弱さ、強さ…そこに注目して頂けたこと、そして【壱】で好きな場面があること…とても励みになります！これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年2月4日 23時) (
レス) id: 8c91eea260 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 移行おめでとうございます。この設定の樹くん強さの中に弱さがあったりなどしてとても好きだったのでお話し続けてくださりとても嬉しかったです。憑依させる場面特に好きでした！これからも作者様のペースで更新して頂けたら嬉しいです。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 6f43ad3d50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2021年1月26日 23時
