幼馴染なんて言えないよ

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よろしくお願いします、
とスタジオに入ってきたほく。

ついに撮影が始まる。



新ブランドのコンセプトはジェンダーレス。


"社会的に女はこうであるべき"

"男はこうでなければならない"


という柵(しがらみ)にメイクも絡んでいる。

ジェンダーに囚われず
自分のなりたい姿を実現できる

それが当たり前、日常になるという想いが込められている。


それを体現するかのように、
シンプルなメイクの中に一際目立つアイライン。

彼の顔の造形美がより生かされていた。


彼がカメラの前に移動するだけで、周りのスタッフたちの息を飲む音までも聞こえてきそうだった。



そして、撮影が始まれば一気にスタジオの雰囲気が変わり、スタッフの顔付きも変わる。


モードでありながらも背伸びをしない自然体な姿。

彼の魅力を最大限に引き出そうとスタッフも一丸となっている。


こういう周囲を巻き込みながら世界観を作り上げるのが彼の魅力なのだろう。


私は気づけば瞬きを忘れるほど撮影に、

というよりか、
"松村北斗"

という存在を食い入ってみていた。



そして、休憩と衣装チェンジに入れば、
さっきまでの雰囲気とは一変。


カメラマンに写りを確認しながらも他のスタッフともコミュニケーションを取り、和やかな空気感に色を変えた。

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