ヴィランと塩対応マッチョ

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照 side


「健人ごめん…実はあの後俺もテラスに行こうとして
2人の会話少し聞こえてて…俺を守る為に演技してって…」


健「盗み聞きしたの〜？w 悪い人だ〜。
なんでAは守ろうとしたんだろうね？」


それを知りたくてここに来たのに

「健人は分かってるんだろ？教えてよ」


健「Aに酷いこと言った罰として教えない^^
答えは自分でどうにかして見つけな」


酷いこと……あ。


"ここまで悪質な事ができるあなたには
やっぱりヴィランがお似合いだよ"



真相はまだ分からないけど、俺を守ろうとしてヴィランになったのなら俺はかなり失礼で酷いことを言ってる。

でも、びしょ濡れでボロボロだった紀奈は？

「もう訳がわかんない……」



健「ねえ、ひーちゃん」

「なに」


健「俺さ、今までひーちゃんに恋愛の事とか彼女の事で口出し一切してこなかったけど……今回は言ってもいい？」


「…………いいよ」



健「親友の今後の仕事の為に忠告ね。
藤田紀奈とは関係断ち切った方がいいよ。
ひーちゃん、アイドルとしても俳優としても終わるよ？」



「…………………………ッツ！！！！！！！」



健「残念ながら音声はないんだけどね
こんな事する子、ひーちゃんには悪影響すぎる。
紀奈さんも詰めが甘いよ、局なんて監視カメラだらけ
なのにね^^」



健人がスマホの画面をみせてきた。



紀奈がAの手からペットボトルを取り上げ
自分で水を被り、髪の毛をぐしゃぐしゃにして、座り込む映像だった。



子役達に酷い扱いをしてるのを知って
もう付き合えない、別れる為に話そうと決めてる矢先

こんな事が起きて……
目の前の光景とAさんの見事なヴィラン演技に
まんまと引っかかった俺は



「俺最悪だ……Aさん傷つけた……酷いこと言った…」




音声がないから、なんでああなったのかは分からない。


でも、これだけは言える。



俺の為にヴィランになった彼女。

紀奈は嘘まみれ。

そして俺は助けてくれた人を傷つけたもっと酷いやつ。




健「目、さめた？」

「ありがとう健人。もう大丈夫」

健「あ、この動画の事Aには内緒ね♡余計なことするとすーぐ怒っちゃうからあのお姫様」


「わかった…てか、その動画どうしたの？」


健「俺の可愛い友達が
"おさいふおとしたのでカメラでかくにんさせてください"
ってちびっ子演じて口の軽い局スタッフ連れて警備室に見に行ってGETしたんだと^^」











……絶対、湊だ。

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