不良に好かれる少女の話【zm,rbr】 (ページ12)

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なんとか遅刻を回避し、ゾムに鞄を落としたことを伝えたのだが、彼は全く反省をしていない。

｢はぁ…｣

zm｢ほら、俺の教科書見したるから｣

そう言ったゾムの鞄からは、昨日もらったばかりなのに既に傷がついている教科書が出てきた。

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只今絶賛ゾムの課題を手伝い中。

不良なのに課題はしっかりやろうとするあたり根は真面目なままなのだと安心する。

結局やってきていないので意味ないけど。

私の課題はもちろん置いてきた鞄の中。

天乃が持ってきてくれることに賭け、昨日配られた中学の復習問題がぎっしり書かれた問題用紙に視線を移す。

中学の成績はあまり良くなかった私だが、天乃のおかげで基本問題はほぼ完璧と言えるほど解けるようになっていた。

黙々と問題を解いていると、近づいてきた女子に声をかけられる。

?｢Aちゃん…だよね、こっちで私達と話さない？｣

顔を上げると、昨日仲良くなった朝桐(あさぎり)さんがいた。

若干震え気味の彼女は隣をチラチラと見ている。

zm｢……｣

｢…あぁ｣

周りからは私がゾムの課題を無理矢理手伝わされているように見えているのか。

なんとなく察して返事をしようとしたのだが、私よりも先にゾムの口が動いた。

zm｢は？何やお前、Aは今俺のために(・・・・・)一生懸命課題を手伝ってくれとるんや｣

邪魔すんなや、と冷たい声で威圧するゾムに、朝桐さんは震えながら謝りそのまま離れて行ってしまった。

なんだろう……友達が減りそうで怖い。

結局課題を終わらせることはできなかったが、担任もゾムを恐れているのか特に言及されずに済んだ。

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そして、ホームルームが終わったと同時に天乃も来た。

rbr｢A、落とした鞄拾ってきたで！｣

大声で名前を呼ばれて恥ずかしくなったが、遅刻してきた天乃の右手には私の鞄が握られていて一安心した。

もちろん天乃も遅刻については不問に付された。

……大丈夫なのだろうかこのクラス。