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◇
?｢ロボロォ、お前また身長縮んだんとちゃう？｣
rbr｢あ"？｣
中学でそこそこ恐れられていた天乃にこんな煽り文句を吐けるのはあの人しかいない。
｢…おはようシャオさん｣
sha｢ん、おはようA｣
zm｢な"ｯ！A、此奴は誰や｣
こちらに向けて最高のスマイルを送る彼。
天乃とつるんでいる時点でお察しの通り、彼も不良だ。
不良界では"不人気シャオロン"の異名を持つらしいが、校内ではその真逆でクラスの人気者、リーダー的存在だった。
sha｢A、今日新しいニット帽なんやけど…｣
｢…流石、似合っとるよ｣
sha｢あったりまえやろ！｣
zm｢A？！｣
少し褒めれば天下のシャオロン様やぞ？なんて調子に乗る彼は、俗に言う犬系男子そのものだ。
シャオさんの標的が再び天乃に戻ると、先程まで怖かった天乃の圧も一気に分散される。
rbr｢うるさいねんお前ぇ！｣
sha｢…っロボロの声で耳壊れる｣
この二人には毎回コントを見せられている気分になる。
微笑しながら眺めていると、優しく制服の袖を引かれた。
zm｢俺らは先行こか｣
｢ぇ…！！｣
言うが否やゾムは全速力で走り出した。
当然、袖を掴まれていた私も不意打ちに対応できぬまま引き摺られるように連れていかれる。
rbr｢A？！｣
｢ぞむ、止ま…ｯあ｣
天乃がすぐに気づくも、時すでに遅し。
予想外すぎる出来事に力が抜け、鞄を落としてしまった。
バシッと結構大きい音が鳴ったのだがゾムはそれすらお構いなしに走り続ける。
咄嗟に後ろを見ると、天乃が鞄の目の前で立ち止まっているのが見えた。
天乃に拾ってくれと願いつつ、ゾムに止まってくれと悲願した。
_
Aの居なくなった通学路。
一人の青年は追いかけるのをやめて、彼女が落とした鞄をしばらく見つめた後、そのまま手に取った。
｢まだ彼氏でも何でもない奴が女子の鞄チェックしとる…｣
友人は引き気味に見つめるが、彼は躊躇なく鞄の中を漁る。
｢自分の目で確かめんと気が済まへんねん……｣
数十秒後、満足げに顔を上げた青年は彼女の鞄を大事に抱え、友人と共に登校を再開した。
｢お前、今年もAと同じクラスにしてもらったん？｣
｢なんや文句あんのけ？｣
｢……いや、先生も大変やなぁ｣
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作者名：8bit x他1人 | 作成日時：2022年4月15日 17時
