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14話 【昔。】 ページ15

昔、昔の話。
A……私の元いた世界とは違う所で起きた話。

「ねえ!ねえ!夛狼!!一緒に森に行こうよ!!」
そんなことを言っている双子の片割れ、紫狼[じろう]に対し夛狼は難しそうな本を読みながら言った。
「こんな時期にそんな所行ったら敵に襲われるよ」
夛狼はとても思慮深い人だった。
紫狼はとても優しい心を持つ人だった。
きっと、どちらかが欠けていたら2人で暮らしていくことは無理だっただろう。

そうして2人で平穏な日々を過ごしていたのだが、ある時事件が起こる。

その年は、冬が来るのが異常に早かった。まだ人や動物が冬の準備が終わる前だったのだ。
それは夛狼と紫狼も例外では無い。

「どうしよう。夛狼。お腹空いた……」
「うん……。……紫狼、ちょっと俺、ご飯探しに……行ってくるな……」
そう言って夛狼は、外に出ていったのだがあることに気がついてしまった。
(どうしよう……暖を取る道具を忘れてしまった……)

「おーい!」
後ろから声がして夛狼は振り返った。
そこに居たのは紫狼だった。
「紫狼、馬鹿なの?」
なんで来たんだ、と珍しく夛狼はイライラとした。
「良かった……!ねえ、これ忘れてたよ」
紫狼が渡して来たのは夛狼が忘れた暖を取る道具だった。
しかし、夛狼は気づいてしまった。
(コイツ……紫狼じゃない……)
紫狼は、冬の間は外に出ない。何故なら寒いところに行くとすぐ風邪を引くからだ。
「ねえ、紫狼は何処に行ったの?」
少しだけ威圧的に言うと、相手は霧になって消えてしまった。
(すぐ家に帰らないと……!)

家に着いた時、中にはもう人がいなかった。
(何処だ……?何処に居るんだ……?)
家だけでなく村中を夛狼は隈無く探し回った。
しかし、紫狼を見たと言う人すらいなかったのだ。

それからずっと紫狼を探し回っていた夛狼。
ある時ふと立ち寄った教会の地下で見つけてしまった。
自分の両親と紫狼を。
(いったいだれが、こんなことを)
そのまま床へ座り込む。
もういやだ、そんな気持ちでいっぱいになった夛狼は言う。
atque finitis(すべて終われ)

15話 【最期】→←13話 【ほんとは、】



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もふもふ@歌い手様だ〜いすきぃ?(プロフ) - みほさん» ありがとうございます!更新頑張ります (2018年5月1日 9時) (レス) id: ea51fe8310 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 更新頑張ってください (2018年5月1日 9時) (レス) id: 2656059692 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もふもふ@歌い手様だ〜いすきぃ | 作成日時:2018年4月30日 16時

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