タイムスリップ【今日から俺は】 (ページ11)

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片桐｢ほら、これ使え｣

A｢すごっ！
一式揃ってんじゃん！｣

俺が連れてきたのは、母親の部屋

2年前に、癌でなくなった母親

父親は、その5年前に事故で亡くなった

何から片付けていいのか分からなかったのもあるが、面倒で片付けられなかったのもある

A｢いいの、使って｣

片桐｢俺が使う訳でも無いからな｣

A｢んじゃ、有難くつかわしてもらおう！
あ、メイク落としはっけーん♡｣

Aは鏡台の引き出しをあけて中を探る

特に何も聞きもせずに

片桐｢…聞かないんだな｣

A｢んー？なにがぁ？｣

片桐｢普通聞くだろ
男一人の家にこんなのあったら｣

A｢んー、何となく予想はできるしね
まさかとってあるとは思わなかったけど｣

…そうだ、こいつは未来の人間だ

俺のことも、相良の事も伊藤達のことも知っている

そんなこいつが、俺の両親が居ないことを不思議に思うはずがない

こんなただ広い一軒家に俺一人で住んでる理由も、こいつは聞かずとも分かるんだ

A｢メイクは出来そうだな～
大丈夫！｣

片桐｢別に、化粧なんてする必要ないだろ｣

A｢分かってないなぁ～
化粧は女の命！ってね｣

片桐｢そーゆうもんか｣

A｢そーゆうもんだよ！
あ、服貸してくれない？
服ないから｣

片桐｢探してくる｣

俺は、部屋のタンスから一番小さなグレーのスウェットを引っ張り出す

母親がサイズを間違えて買ったきたやつだ

片桐｢ほら｣

A｢ありがと！｣

片桐｢明日の服はどうすんだ｣

A｢智司さんち乾燥機ある？｣

片桐｢あぁ｣

A｢んじゃ、乾燥機借りる～
お風呂沸かしてくるから、場所教えて！｣

片桐｢リビング出て右だ｣

A｢りょーかい！
沸いたらすぐ入ってね？｣

片桐｢お前が先に入れよ｣

A｢家主でしょ？
家主が先に入る！これ常識！｣

片桐｢普通逆だろ…｣

A｢気にしなーい気にしなーい｣

呑気なそいつは、リビングを出て風呂場に向かった

…ほんとに家事出来んのな