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ひと夏の R ページ42

中島side

紆余曲折ありながら稽古に励んできた舞台公演も今日
で最終日。もう終わってしまうのかという寂しさと、
やっとここまで辿り着いたという安堵も重なって気分
が高揚している。

中島>おはようございます!

楽屋に入り挨拶をすれば、共演者の方やスタッフさん
からも挨拶が返ってくる。

スタッフ>中島さんメイク行って大丈夫ですか?

中島>はい、お願いします。

メイクをしてもらいながら、台本でセリフの最終確認
をする。もう大半は何も見なくても言えるくらいには
なったけど、最終公演でミスをするわけには行かない
からね。

スタッフ>とうとう最終日ですね。

中島>そうですね〜。ついにここまで来れましたね。

スタッフ>泣いちゃう?笑

中島>えーどうだろうな〜。

スタッフ>終わってみなきゃわかんないね。

中島>そうですね〜。

メイク後、衣装に着替えて軽く昼食をとる。空腹だと
動けないしね。しばらくすると最終リハーサル。注意
事項を再確認し、衣装を整えているともう開演時間が
迫っていた。

監督>今日も安全第一で、頑張って行きましょう!
全員>はい!

監督の掛け声に返事をするみんなの迫力がとても強くて、少し圧倒されそうになった。

監督>頑張りましょう!
中島>…はい!

肩に置かれたその手の温もりに、緊張がほぐれた。

ブーッ

アナウンス>それでは時間となりましたので、ただ今
より開演いたします。

アナウンスとともに幕が上がり、公演が始まった。

…パチパチパチパチ…!

公演は無事に終了。幕が降りた後も、客席からの盛大
な拍手は鳴り止まない。

監督>皆さん良かったよ!ありがとう!

舞台袖に戻ると、監督は涙を流していた。

中島>…はぁ……はぁはぁ…はぁ……!

興奮、感動と達成感、解放感や安堵。いろんな感情が
入り混じって上がった息が元に戻らない。

スタッフ>中島くん、よく頑張ったね。ゆ〜っくり深
呼吸してみようか?

入り混じった感情が、涙となって込み上げてくる。

中島>……はぁっ……ひぐっ……は……っ…!

スタッフ>大丈夫大丈夫、ゆっくり息しようなー?

酸欠を起こして頭が気持ち悪い。手も痺れてガクガク
と震えていて、怖くなった。

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作者名:aki | 作成日時:2021年9月4日 12時

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