まもりたい P ページ28
涼介(19) 慧(21) 大貴(24)
涼介side
大学生になり、読書が好きだった俺は、文芸サークルに入会した。授業が終わるなり活動場所になっている教室向かった。
涼介>あっ、慧さん。
部屋に入ると2個上で俺の憧れの先輩、慧さんがすでに部屋にいた。
慧>おっ、来たね。
涼介>こんにちは〜。
去年まではもう少し人数が多かったらしいんだけど、メンバーが減ってしまって今では2人で最近読んだ本の話をする場所になっている。
慧>最近はどんな本読んでるの?
涼介>これです。表紙の絵に惹かれた本なんですけど、
内容も凄くよくて。寄り添ってくれるというか、
相談に乗ってもらった気分になってスッキリする
んですよね。
慧>わかる。俺も高1の時、図書室の司書さんに勧めら
れて読んだけど、心が軽くなるよね。
涼介>そうなんですよね。慧さんは何か読んでますか?
慧>俺はこの本だよ。ちょっと長いけど、ホラー系なの
に人の温もりがテーマになってて不思議な感じなん
だよね。
涼介>結構人気ですよね。俺も勧められたけど、長くて
諦めちゃいました。
慧>確かによっぽど好きじゃないときつそうだね。
涼介>そうですね。それに俺、ホラーはちょっと苦手
で。
慧>えーそうなんだ?意外だなぁ。
涼介>そうですか??
慧>うん、なんかこういうのが好きだと思ってた。
涼介>そうだったんですね。
いつものように最近読んだ本の話をしていたら、2人のスマホからサイレン音が鳴り始めた。
涼介>びっくりした、地震かな。…慧さん?
慧さんは、耳をギュッと塞いで涙を浮かべていた。
涼介>慧さん、大丈夫ですよ。机の下行きましょ?
揺れを感じ始めたから机の下に潜ると、慧さんも震えながらも机の下に隠れてくれた。
涼介>…ふぅ…。慧さん、大丈夫ですか?
慧>…ぅ…。
揺れが落ち着いて声を掛けると、恐る恐る、といった感じで耳から手を離した慧さん。
涼介>慧さん、もしかして地震苦手ですか?
慧さんは、小さくコクリと頷いた。
涼介>そうだったんですね。大丈夫ですか?
慧>…、うん…。
涼介>慧さん?
慧>…うん、大丈夫。…今日はもう、帰ろうかな。
涼介>何か僕にできることあったら、なんでも言って
ください。
慧>うん、
その時、慧さんの携帯が着信を知らせた。
91人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2021年9月4日 12時