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ぬくもり R ページ1

伊野尾side

…バタッ

山田>_だよね〜。…え、ちょっと!大丈夫ですか?!

山田とのバラエティ番組の外ロケをしている最中、前を歩いていたスタッフさんが、突然倒れてしまった。立ち上がる様子もなくて、少し転んだというだけではないみたいだ。

スタッフ>どっか屋根のあるとこに運んで!

他のスタッフさんや山田が慌てたように対応している中、俺はあの日の事がフラッシュバックしてしまい、動けずにいた。

伊野尾>…はぁッ、はぁッ、はぁッ、、

俺がまだHey! Say! JUMPとして活動していなかった頃。よく遊んでくれていた人が、目の前で突然倒れてしまったんだ。まだ幼かった俺は、その光景がトラウマになってしまって、今でも急に誰かが倒れたりするのを見ると、パニックになって苦しくなる。

伊野尾>…はぁッ、はぁッ、だ、れか…はぁッ、たすけて
…はぁッ、はぁッ、、、

酸素が上手く取り込めない。頭がズキズキして、心臓が破れそうなくらい、激しく鼓動する。何とか落ち着きを取り戻そうとして、しゃがみ込んで目をつぶり、シャツの胸もとを握りしめる。助けて欲しかったけどみんな倒れたスタッフさんに注目していて俺には気づかない。

山田>…伊野尾ちゃん?大丈夫?

山田の声が聞こえた。でも声をだそうと焦ると、余計に息が荒くなる。苦しくて涙が出てくる。

山田>伊野尾ちゃん、どうした?ちょっと動ける?

顔を覗き込まれるけど、俺は息をすることだけで精一杯で、反応出来ずにいた。

山田>…やっぱりここでいいや。伊野尾ちゃん、俺の
声聞こえる?大丈夫だからね、焦らなくていい
からゆっくり息しよう?

そう言って優しく包み込んでくれて、背中をさすってくれる。

伊野尾>…はぁ、はぁ、はぁ…。

山田が普段からつけている香水の香りに包まれているとだんだん落ち着いてきて、呼吸がゆっくり出来るようになる。

山田>落ち着いてきたかな?怖かったね、もう大丈夫
だからね。

俺の事情なんて知らないはずなのに、優しく声を掛けてくれる山田。

伊野尾>…ごめん…人が倒れるとか…トラウマで…。

山田>うん、ちょっと怖くなっちゃったんだよね。俺
もびっくりしたもん。

伊野尾>…怖かった…。

山田>怖かったね…。気分悪かったりしない?

伊野尾>…大丈夫、

山田>そっか、よかった。

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作者名:aki | 作成日時:2021年9月4日 12時

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