３０，取引直前III ページ45
糸師冴は驚きを隠せなかった。
綺麗で鋭いふたつの目を大きくして。
冴「お前は……否定、しないのか」
『？……ひ、否定、ですか』
冴「あの
『それは、まあ……そうでしたけど……』
過去形になっているAの言葉に疑問を持ちながらも、少し表情が暗くなったように感じた。
『でも、自分のことを誰かが否定する権利なんてないと思うんです。
最も、自分の人生の話ではないので』
冴「……」
『夢はどんな状況にあったとしても見ることはできますが、目標にするというのは並大抵の努力では成りません。
だからこそ、私は世界を知って新たな夢を見つけて努力する糸師選手がすごいと思っています』
曇りなき瞳で、ただ冴を見つめて伝わる言葉はとても輝いていた。
冴「A……」
あの時、彼女を一緒に連れて行けばよかった。
共にスペインへ旅立ち、世界を知り、支え合って生きていければよかった。
そう後悔してしまうほど、今の彼女は眩しい。
『ちゃんと応援させていただいてます』
出会った頃からAの才能にいち早く気づき、彼女の魅力に惹かれ、ずっとずっと想っていた。
想い、焦がれていた。
そして、
冴「……やっぱり、お前は俺が認めた唯一無二の女だ」
『え？』
冴「お前と出会えて、よかった」
『あ、ありがとう、ございます……？』
冴は口元に手をやりながらAを優しい眼差しでずっと見つめ、フッと笑った。
『えっ』
冴「……なんだ」
『い、いま、笑いました……？』
冴「ああ」
『な、なんでですか？
まさか、わたし何か失礼なことでも……』
冴「いや、違う」
Aを見てあたふたするところも、からかい甲斐があってとても面白いと思う。
けど、きっとそれはAだからであって、他の女性でもそうは思わないのだろう。
冴「……改めて愛おしい、と思っただけだ」
『……………』
照れ隠しでお茶を淹れようと急須を持つAの手に、優しく自分の手を乗せる。
冴「手、あついな」
手があついのではなくて、手に待つ急須が熱いのだ。
そう信じておくことにしよう。
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ネムノキ(プロフ) - りすさん» 長らく返信できず大変申し訳ありません💦コメントありがとうございます！温かいメッセージを胸に今後も頑張っていきますので、よろしくお願いします！ (12月16日 12時) (
レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - とっても、面白いです！！主様のペースで頑張ってください！いつまでも待っています！ (8月22日 3時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - 遅れてすみません💦コメントありがとうございます！先週はあまりにも忙しくて更新できませんでしたm(__)m今週からまた頑張りますので、よろしくお願いします✨ (2023年4月27日 7時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 番外編おめでとうございます！更新頑張ってくださいね！この小説めっちゃ好きです！ (2023年4月18日 17時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - 読者の皆様。コメントにて簡単な挨拶失礼します。大変長らくお待たせしてしまい、大変申し訳ありませんでした！なかなか出だしが決まらずにいましたが、この番外編もお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m (2023年4月18日 0時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネムノキ | 作成日時：2023年4月17日 23時
