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『そういや凛ちゃん』
凛「ん?」
『私が風呂から出てくるまで怖いの観てたの?』
凛「ん」
凛が髪の毛を乾かしてくれている間、どうやらロードショーとやらで再放送されていた海外のホラー映画を観ていたらしい。
ホラーを観るようになったのは、兄ちゃんがスペインへ旅立ってからだった気がする。
『……怖くないの?』
凛「……ない」
小さい頃はお兄ちゃん大好きでずっとひっついてたけど、今は1人でもやりたいことを自由にやっている。
凛の成長に感心する反面、いつか自分と関わる機会も減っていきそうな気がした。
『凛ちゃんは、お兄ちゃんいなくて寂しい?』
凛「……寂しくはない、けど、早くまた一緒にサッカーやりたい」
『強いもんね、冴選手』
凛「Aは」
『ん?』
凛「Aは、兄ちゃんいなくて……冴がいなくて、寂しい?」
ここで“寂しい”なんて言われたら、どう反応すればいいのだろう。
兄ちゃんのことは尊敬しているけれど、Aを想う気持ちだけは譲れない。
冴ははっきりと口に出していなかったものの、弟である凛は兄のAへの好意に気がついていた。
『寂しい……か。
寂しいってよりも、心配してるかな』
凛「心配……?」
『うん。
だって冴選手は慣れない外国の土地でサッカーやって、生活してるんだよね?
体壊してないかなーとか、ちゃんと生活できてるかなーとか、いろいろ』
凛「……」
『でも冴選手は強いし、頼もしいから、心配はいらないね』
しばらく沈黙が2人を包む。
部屋には微かな呼吸の音と、テレビから流れるホラー映画の音のみ。
凛「………………Aは、」
『わぁあっ!!!!!!!』
凛が口を開いた途端、ホラー映画特有の「目の前に急に現れるゴースト」のシーンが流れた。
急に現れたのにびっくりして、今まで聞いたことのないAの大きな声に凛はびっくりした。
『……あ、ごめん』
凛「……」
『急にくるの、びっくりしちゃって……あはは』
凛「…………」
『固まっちゃったw
……そういえば、なんて言おうとしてたの?』
凛「え」
『「Aは」って、言ってなかった?』
凛「…………いや、特に」
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ネムノキ(プロフ) - りすさん» 長らく返信できず大変申し訳ありません💦コメントありがとうございます!温かいメッセージを胸に今後も頑張っていきますので、よろしくお願いします! (12月16日 12時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - とっても、面白いです!!主様のペースで頑張ってください!いつまでも待っています! (8月22日 3時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - 遅れてすみません💦コメントありがとうございます!先週はあまりにも忙しくて更新できませんでしたm(__)m今週からまた頑張りますので、よろしくお願いします✨ (2023年4月27日 7時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 番外編おめでとうございます!更新頑張ってくださいね!この小説めっちゃ好きです! (2023年4月18日 17時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - 読者の皆様。コメントにて簡単な挨拶失礼します。大変長らくお待たせしてしまい、大変申し訳ありませんでした!なかなか出だしが決まらずにいましたが、この番外編もお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m (2023年4月18日 0時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネムノキ | 作成日時:2023年4月17日 23時