始まりの一射 ページ37
雅貴「最初の一射は……A、お前が引いてくれるか?」
え?
マサさん、……今何て?
私「……私、今日は弓とか持ってきてないですよ」
雅貴「弓は俺のを使って構わないさ」
私「でも弓のキロ数や矢束とか……というか、私で良いんですか?」
戸惑う私にマサさんは弓を差し出す。
雅貴「Aが良いんだ。」
私「!!」
自分の鼓動が早くなるのを感じた。
雅貴「Aの一射で始めてくれるか?」
私「……分かりました」
カバンから弽と胸当てを取り出す。
弦に引っかかるといけないから制服のスカーフは一応外す。
準備を終えて、マサさんから弓を受け取った。
竹弓や竹製の矢のなんて久しぶりだ。
的を見据えて胴造りを行う。
1万射……。
前回は湊くんで終わらせた。
早気を恐れることを終わらせた。
じゃあ私の一射で何を始める?
私の……マサさんの願いは?
何が変わる?
湊くんの早気が治りますように?
弓道部が盛んになりますように?
違う
キリキリ……
会を保たせる。
私は……。
私は何も願わない。
いつもの様に祈るだけ。
ーーーー弓の神様、私を……私達を………
皆を見守っていてくださいーーーー
キーン!!
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作者名:白餅 | 作成日時:2019年1月19日 9時