うさぎとライオン

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『 おみせんせーが 』




『りゅーじが。』




『 おみせんせーが。』




『 りゅーじが。』








毎日、同じ台詞が繰り返される我が家の家族の団欒。





ヤンキーが？ボヤッとが？それがどうしただの、なにをしただのいつもその話題で持ちきりになる我が家の団欒タイムは好きな先生の自慢話を言いながら、、聞きながら子供達は寝落ちする日々。




寝室の電気を消して、私はまた仕事モードへと入る。






ノートパソコンをリビングのローテーブルに置き、今日のお夜食……商店街の揚げ物屋さんでももらった唐揚げを頬張ると、やっぱり懐かしい、優しい味がした。








「 ……いつも量が多いよ、おばちゃん。」






陸空のスマイルに負けて食い切れないほどの量を
安く提供してくれるおばちゃんにはありがたいの一言に尽きる。









感謝と言わんばかりに唐揚げに手を合わせると
タイミングよく、メールが来た。









〔 明日行きます。お茶菓子は甘いものがいいなー 〕









……修正があったのか。







メールの送り主は、出版会社の岩田さん。

小林さんなら逆に持ってくるのに……。









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小林さんへ


身体鍛えてますか？
うちに置いていった木刀はもういらないんでしょうか？
身体を鍛えるのはいいことだと思いますが
鍛えてる最中はしゃくれますのでお気をつけ下さい。
追伸
たまにでいいので岩田さんにもお菓子を持ってきて下さいとお伝えください。




なんて心の中で小林さんにメールを送信してみる、深夜1時を超えた私だ。









「 ……次は恋愛物ねぇ…… 」









恋愛からかけ離れた生活を送っている私に
なにが書けると言うのだろうか。




そりゃ前は、旦那との馴れ初めを何重にも膨らませて書いたもの。


今では、ミステリーに転向しつつある私。







なぜミステリーかって？









……そんなの決まってる。









不倫した旦那を如何にして
完璧に、疑うものなく、、ヤ る。









これで私は、養育費生活費を稼いでいるわけだ。









そんな私の次回作は、恋愛物。









「 ……無理じゃね？ 」









はい、結論に至った〜。





出版社的には、ミステリー作家の180度違うものを求めるのもわかるけど、今の私には、甘い蜜より殺人トリックの蜜の方がいい。









怨みを周りに言わずにすむのも
書籍でぶちまけているのだから。









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