うさぎとライオン

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皐月と詩音さんの監督コールを聞こえないふりをしてカフェを後にした。







そして本来の人間観察へと向かった。



来たのは、近くの大型ショッピングモール。
と言っても都会と違って行き交う人も多くはない……。





それでも高校生カップルに(学校は？)年配のご夫婦に、友人同士達が歩いている。






私は、ショッピングモールのホールの横にあるカフェ(またコーヒータイム)に持ってきたノートパソコンを開き観察を始める。




近くの席には、同じくパソコンを開き仕事をするスーツ姿の男性。カタカタと私より早いタイピングで書類を見ながら作業をしている。

反対側を見れば、20代前半くらいのカップルが仲よさそうにお話中。


カフェの入り口に付けられたベンチには大きな買い物袋を横に置きおばちゃん達が会話に花を咲かせている。








観察を始めて数十分。

私の画面には、何個か特徴のある人物像が広がっている。





そこから今度は、自分の頭の中で
この人はこうだろう、ああだろうと想像を膨らます。


例えばスマホを眺めて喫煙所にいる男性は…





私の頭の中では
彼女からの連絡待ち。



スマホを操作しては、ポケットへ、その動作を繰り返す男性、ここでは田中イチローとしよう。


田中イチローは、たまに嬉しそうにスマホを操作する。
幸せそうに目尻を下げている。

喫煙所のカウンターに置かれたお店の袋は、彼女へのプレゼントで今日は彼女の誕生日……かもしれない(喫煙所に持って来ないよね。普通は。甘いぞ！田中イチロー！！)



そこから、甘い想像をするのだろうけど……









今の私は、そうではない。






この田中イチローは、実は今日彼女を亡き者にしようとしている。物で釣って呼び出す寸法だ。


まんまと罠にはまった彼女の返事に笑みを零したのかもしれない。




しーかし！！甘いぞ！田中イチロー！！
実はその彼女が返り討ちにしようと今か今かと帰りを待ってるんだから。

証拠が残らないように
今頃、彼女は高笑いをしている。









…………あーーーー、、
どうしてもサスペンスの方に頭が向かってしまう。









よし、では人物を変えて考えてみよう。








……






……






……






……









…………やっぱり今日も人間観察の成果はない。









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