うさぎとライオン

． ページ17

詩音さんが去ったあと、
陸は、テレビに映ったサボさんに夢中で。
私は珈琲に口をつけた。





皐月
『 ……で最近どう？ 』


A
「 まぁ、、ぼちぼち。」


皐月
『 仕事大丈夫？ 』


A
「 うん……なんとかなってるかな。」






皐月には、私が物書きになったのは
秘密にしてる。



だって恥ずかしいじゃない？






皐月
『 あ、これ貸してあげる。先生の新作！ 』


A
「 えー、読んでる暇ないから断る！！」






皐月が取り出したのは、見覚えのある本で……




皐月は私の某サイトからの読者で、書籍化しても
未だに読んでくれるらしい。
本当に有難い存在だ。








皐月
『 最近、ミステリーしか書かないんだよねー、前は恋愛物ばっかりだったのに。』


A
「 へぇーー。」


皐月
『 映像化したやつもサスペンスでさー。』


A
「 ほーーー( あれめっちゃ頭使って廃人になったんだよね…… ) 」


皐月
『 あまーいやつ読みたいのにー。』


A
「 へぇーーー( 今は聞きたくないわー) 」



『 先生ってどんな人なんだろうねー。』



「 さぁー？ ( ここにいます。) 」



『 あ！？昔のやつ貸そうか？仕事中暇なんでしょ？その間に読んでみたら？ 』



「 いや、本を読む時間はない。(旦那との出逢いとか振り返りたくもないわっ)」



『 いやいや、あんたは読んだ方がいい！ 女として枯渇してる！ 』






でた……枯渇。


子育てしてると枯渇くらいするでしょうが。









．









……振り返ったってあの日は





もう戻らない……。





いや、戻りたくもない。









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