うさぎとライオン

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陸には、お父さんの記憶がない。
見たこともない。


だからと言って陸は、私にパパは？と聞いてきたとこは一回もない。



言われたらどうしよう……とか思うけど
言われないのも、ちょっとだけ困る。



あんなに小さいのに
私に気を使ってるんだろうか。









「 ……パパねぇ…… 」









誰もいないグランドに消えていった私の声。









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誰もいないグランドを見つめること数十分。






ふと目線をホームグランドに移すと黒のグランドジャンパーを着た人が見えた。







大声で何かを歌って、ベンチ横の用具入れからトンボを取り出し一人でグランド整備を始めた。









……あれは、、、、








今市監督では？？







練習開始時間までまだ時間はあるというのに
一人でホームベースから徐々にグランドを綺麗に慣らしていく。









…………洋楽なのか聞き覚えのない歌が
徐々に私の方へと近づいてきた。






外野の芝生に到達すると大きな声がグランド内に響いた。








『 終わったーーーーっ！！！ 』









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両手を天に伸ばし満面の笑みを誰もいないグランドに向けたのち、ゆっくりと三塁側のスタンドへと首が動いた。









『うぉっ！！！い、、いつからいたんすか！？ 』







あ、、、どうやら私に気づいたようだ。





フェンスに駆け寄ってきた監督は、『 今日は早いっすね 』とはにかんだ笑顔を私に向けた。






「 ご苦労様です。」



『 どうも、、、』



「 いつもこんなに早い時間からいらっしゃるんですか？ 」



『 え、あ、まぁ、、そうっすね。』



「 …………いつも空がお世話になってます 」



『 いえいえ、、、』



「 ………… 」



『 ………… 』









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やばい、、、、会話が続かない。









まぁ、、監督と親御さんはこんなもんですよね……。



監督は、学校の先生でもないし
たしか……どこかにお勤めの人らしい。

コーチは……確か役所関係の人で
監督は……はて？何をしてる人なんだろうか。




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『 あ、あれ、、、、今日陸は……？ 』



「 あ、、まだ保育園です。」



『 あ、、、まだ時間早いっすもんね。』



「 そう、、ですね。」



『 …………。』



「 …………。」









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