バツ恋

． ページ45

Aside









直己さんの電話の内容は
いつも決まってこうだ…





“ 隆二をどうにかしろ。”





アプリ開発に没頭するあまり寝る時間もご飯を食べる時間すら忘れる隆二を心配するあまり、直己さんが助けを求めてくるのだ。だから、忙しい中でも夕ご飯を作りに帰ったり、どんなに朝が辛くても朝ごはんと昼ごはんを作って仕事へ行く生活を何年もやってきた。




……全然嫌じゃなかったんだけどね。









『 おい、設定途中なんだけど。』



「 あ、、、はいはい、お願いします。」









もう……そんな電話なんてかかってこないんだよね…。
私達は……他人になったんだから……









『 アルバムも移動する？ 』



「 アルバム？ 」



『 写真 』



「 大丈夫……。」









うん、、、アルバムの引き継ぎは……大丈夫。。






今まで使ってた携帯には
いろんな思い出の写真が色褪せることなく保存されてる。



夜のお店の時の写真に
パチ屋の時の写真……









そして……









隆二との写真も。









『 写真の保存いらねーの？ 』



「 うん。」









新しいスマホには
私が前に進んだ証拠。

思い出は、大事にしまっておこうと思う。









『 見ていい？ 』



「 ダメ。」



『 なんでだよ。いいじゃんべつに。』



「 いやです。」







無造作に置かれたガラケーを大事にカバンの奥へとしまった。








それに見せるわけにもいかないもの。
研修生の携帯に社長と一緒に写ってる写真があるなんて、ダメでしょ。

お揃いのパジャマを着てる写真とか…
まぁ、、、色々とまずいものがね……
この私の携帯には、詰まってるんですよ。









……なんで別れた男の写真があるかって？









……なんでだろうね

消そうとすると涙が溢れてくるんだもの…。









『 ……んな泣きそう顔すんなよ、、見ねーから、、』









……いつもこうだ、、



消そうと何度も試みた。




それでも、、、、









消去ボタンは一向に押せないまま……。









『 ったく、、、ホイップ追加してやるから、、、 』



「 やったー！！アメリカンのホイップ特盛で！ 」



『 あ、、嘘泣き？ 』



「 ん？何のことですか？ 」







．





にこりと微笑むと私の前に座ったオミさんは
大きくため息をつき席を立った。









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