逃げ道は過酷なもの

1人……じゃない。 ページ10

貴女side








隆二の転勤は嬉しいし…
応援はしたい……









でも…………









今この場にいて笑えてるのか……



正直わからない……。









私の前で栄転を祝われる３人の姿。





隆二、、、






山下さん、、、、








そして……









爽子。









大きな花束渡した私は笑えていただろうか…。









明日から本社勤務は３人はみんなに笑顔を振りまく。
そんな３人と対照的に苦虫を潰したような顔をした人がいた。









『 ……３人も一気に、、どうするんだ…… 』



「 そうですね…… 」








小林部長が頭を抱えた。

そりゃそうだ…
いきなりの辞令でも大変なのにうちの営業所では優秀な３人が一気にいなくなるんだから、頭を抱えるのも頷ける。







『 A、2人で頑張ろうな。』




「 補填はないんですか？ 」




『 あぁー、、、補填になればいいんだけどなぁ… 』








補填になればいいんだけどな……？？




え、、、問題児とか……？

３人引き抜くんだからそれ相応の人材がなきゃ
ここだって回らなくなると思うんですが…と目で訴えた。








『 業務に問題はないんだけどな…… 』



「 なら何が問題なんですか？ 」



『 ……素行？ 』



「 ……え？素行…ですか？ 」








私の声は、少人数で行われた胴上げの声により
かき消された。

天井につきそうになるくらいに上がった山下さんを
隆二が大きな口を開けて笑って高々にあげた。









『 そんなに寂しがることはない。』



「 小林部長？ 」



『 俺だって寂しい人の1人だ。』









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