逃げ道は過酷なもの

初耳 ページ7

to：川崎部署 経理課 Aさん
from：本社営業部 片岡部長





久しぶり！！
元気にしてる？
俺ちょー元気。







．




それは営業所の違う片岡部長からのメール
元々は私の上司だった片岡部長……








……嫌な予感がするのはなぜだろうか……。








．








そっちのみんな元気？
こっちはみんな元気だぞー！って俺しか知らないよな！

先週まで今市がこっちに来てたんだけどさ〜
今市の本社異動の件
Aからも言ってやってくんない？
遠距離って距離でもないし
お前らなら大丈夫だろ！？









．






片岡部長……
私、、その話聞いてないだけど？




本社のことを聞こうとしたら
“ もう黙って ” ってそれっきり。









片岡部長にメールを一行だけ返した。









“ 初耳です。”









そう送り返すと
私のデスクの電話が鳴った。












「 お電話ありがと《 ちょ！！なんで聞いてないの！？ 》




「 おつ《 疲れてないから！ 》




「 おひさ《 ってなんで聞いてないんだよ！？ 》









あぁ〜、、久々の感覚だなぁ〜。
片岡部長の言葉被せは。



今の小林課長は寡黙で理想の上司そのもので
仕事するには有能の上司で、
片岡部長のように最後までちゃんと話を聞いてくれる。
片岡部長も有能だから栄転したんだけどね。









《 今市、なんも言ってないの？ 》



「 聞いてないですね… 」



《 俺にはちゃんとAにも言ってありますって言ってたのに。》



「 本人はなんて言ってるんです？ 」









そんなの聞かなくてもわかる気がする。









《 「 私(A)を残して行けません。」》









．









《 …わかんの？ 》






受話器の奥でポカーンと口を開けた片岡部長の顔をしているのが容易に想像出来た。




だって隆二が言いそうな事。
それに片岡部長が私に頼んでくるなんて私が理由だと想像できるから。









電話をしながら隆二の方に目を向けると
真剣な顔でパソコンと向き合ってる顔が見えた…









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