逃げ道は過酷なもの

予防線 ページ31

貴女side









部屋の内装なんて気にせずに
空室のボタンを押して出て来た鍵を受け取り
エレベーターへと乗り込んだ。








「 ねぇ、、、よかったの？ 」








隣を見上げると顎を上げ、半開きの口の隙間からのぞいた舌は口端を舐め、大きなため息をつきながら階数を見上げた隆二。









……なんか怒ってる？









部屋に入るなり鍵をかけた隆二は
そのまま私を扉の間に挟んで盛大なため息をついた。









『 アイツ嫌い 』



「 ……どうして？ 」



『 Aに触った。 』



「 ……へ？ 」



『 セクハラされてんじゃねーよ…。』



「 ……ごめんなさい？え、私悪いの？ 」




『 いや、、わりぃの岩田。』



「 連れて来たのは隆二だよ。」



『 ちげーし、ついて来たんだよ……。』









『 抱きつきやがって。 』と私の首元で呟いた隆二は、またため息をついた。









………全く、、、
こういうところは何年経っても変わらない









「 ……ヤキモチ？ 」



『 ……うるせぇ… 』









私が誰かとどうなるわけでもないのに……




……でもさ、、、









「 秘密、岩田さんにもばれちゃったね。」



『 秘密？ 』



「 私たちのこと。秘密でしょ？ 」









営業所でも私たちの関係を知ってる人なんて一握り。
あっさり岩田さんにバラしたんだよ？と指でお互いの顔をさすと『 予防線 』と言い笑みを浮かべた。









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