逃げ道は過酷なもの

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健二郎side









見慣れた光景は
部外者からすれば異常やと思う。


今この場が無音の映像があって
観てる人がいるなら


蚊帳の外は……









岩田一択。









話がわからないAじゃなく
岩田が抜け者だろう。




隆二は安定のA向き。
Aの前の爽子もAに身体が向いている。







そして俺も。









“ Aってさ、うさぎなんだよ。きっと。”









その話を爽子から聞いたのは
俺が爽子と付き合ってから。


爽子はAの誘いを絶対に断らない。
もちろんAも。

どんなに俺が先に約束してても
Aを優先させる。



それは彼氏の隆二も。







最初はどんな女やねんって思ったこともあったが
“ うさぎ ” の意味がわかってきた。









……寂しかったら死んでまう。









ほんまのウサギが寂しくて死ぬのかわからんけど
Aは……いなくなりそう。









俺らと目があった時の安心した顔は
俺もホッとする。
なんやろ……妹みたいな？







ほれ見ろ……







今も俺と目が合うと目を細めて三日月型に形を変えて口端を上げる。


デパートで迷子になった妹が兄貴を見つけた時の顔やな。









“ 守ってあげたくなるよね ”



“ ……そうやな ”









．









『 山下さん、ビールでいいですか？ 』



「 おう頼むわー。」



『 あ、A！！私のも！ 』









……隆二が過保護なのもわかるわな。。









『 ……なんか俺邪魔っすか？ 』



「 いや、気にせんでえぇよ。」









これがいつもの4人だから。









『 いや邪魔でしょ。』









隆二はいつも過保護だ。









．

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