逃げ道は過酷なもの

可愛い奴 ページ26

？？？side








『 ……うわ、最低。』



「 何が？ 」



『 サボりっすか。』



「 終わったし。」



『 そんな楽なんすか？ 』



「 いや、そんなことねーよ。」









俺の前任者がいかに真面目で優秀で取引先にどんなに可愛がられてるかもわかったし。


ただ俺はソイツより上を行く。
ただそれだけのこと。









『 言われた通り、後任にしてもらいましたよ。』



「 ……さんきゅ。」



『 でもなんでなんすか……、、って言わなくてもいいっす。』



「 ……お前可愛いな。」



『 そんな趣味ないっすからね！ 』









……別に、聞いていいけど。って思ったけど、言わないでおく。









『 つーか！川崎３人組やばいっすよ。』



「 へぇ…… 」



『 特にあの出向でも来てた今市さんはやばい。』



「 …………。」



『 あ、出向中謹慎くらって見てないっすもんね。』









好きで謹慎くらったんだ。
どうでもいいさ。









『 ……おーこわっ、、、 』



「 なんもしてないだろ。」



『 臣さんは眼で語りたがるって気づいてます？ 』



「 ……は？ 」



『 目は口よりものを言うってやつっすよ。臣さんのためにあるような言葉っすね。』



「 うるせーな。」



『 はいはい、可愛い後輩はもう行きますよ。今日は残業だし。』



「 へぇ…珍しいな。岩ちゃんが残業なんて。」



『そう仕向けたの臣さんっすからね、今度飯奢って下さいよ。 』









……ほんと可愛いやつ。





伝票を持って席を立った岩ちゃんは
俺にとびきりのウィンクを飛ばして店を後にした。









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