逃げ道は過酷なもの

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貴女side









一連の流れを教えると自前のタブレット端末をキーボードの先端へと差し込みノートパソコンのようにデスクの上へと置いた。





一応配布されるノートパソコンを渡したんだけど『 これじゃ持ち運びがめんどい。』とデスクの空っぽの引き出しへと入れた。






SDカードへと移行したデータはすぐに登坂さんのタブレット端末の中へと吸い込まれるように入っていき、『 これだから昭和は…… 』なんて呟く。









カタカタと鳴り出したとなりのキーボードは
隆二と同等の動きでキーボード泣かせな動きをする。









……一応、教える側。







画面を覗き込むとここの営業所の営業先が一覧となって出てきた。









『 俺、営業とも兼任だろ？ 』



「 そうみたいですよ。」



『 一覧にした方が便利だろ。』



「 ……そうですね。」









……この人。






やばい人だ。









SDにデータは入ってるものの
自分の担当箇所に次々にマークをつけていく。





小林部長が少しだけ伝えた担当箇所を
瞬時に覚えたってこと？









『 んじゃ、挨拶回り行ってくる。』



「 ……いってらっしゃいませ…。」









立ち上がり私を見下ろし鼻で笑った登坂さんは『 これも昭和。』と言って壁に貼ったホワイトボードの自分の名前の欄に《 直帰 》を貼り付け出て行った。









……









……









『 ……仕事はすごいだろ。』



「 ……ですね。」



『 しかし……１０時で外回りで直帰。 』



「 ……早いですね。」








大きくため息をついた小林部長は
げんなりしながら登坂さんのデスクに座り、
自分のノートパソコンを立ち上げた。









『 部長席じゃやる気がしなくてな。』



「 ……なるほど。。」









1人増えたはずなのに
経理部は2人で今日の業務を開始した。









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