逃げ道は過酷なもの

ハーパンの男 ページ15

隆二side









……何してんだ？








俺の元職場の前には
見慣れない男の後ろ姿。



両開きの扉の前でウロウロして
中を覗き込んだ。









「 ……何してんだ？ 」









びくりと肩を震わせた長身の男が
ゆっくりと姿勢を整えながら振り返った









お、、、顔はかなりのイケメン。
切れ長の目に男なのに綺麗な顔をしてる。









『 ……ここの人？』



「 ……そうだけど、あんたは？ 」









にしても……結構ラフな格好してんな。
ベナッシにハーパンにトレーナー。






スーツの俺とは大違いだな。









『 これどうやって開くわけ？ 』



「 ……は？」



『 全然開かねーんだけど。』








……そりゃ、自動ドアじゃねーからな。



引き戸を手で開くと
俺の後ろの切れ長の目の奴が『 おぉ… 』って。









「 で？うちに何のようだ？ 」



『 あ？あぁ…部長に挨拶と思って。』



「 ……は？今？ 」



『 寝坊して気づいたら…。』








人差し指を上へと伸ばし、顎まで上げた。







……寝坊して気づいたら夜だった、、ってことか？







……アホなんじゃね？








「 ……今の時間は非常識じゃないか？ 」



『 だな。帰るわ。』









俺の肩を叩き、俺が来た道を戻って行った








……なんアイツ？









自動ドアじゃない扉を開き元の俺の居場所へと向かう為、階段を登り出した。









“ 素行の悪いヤツ。”









あ、、、、、









思い出したように振り向き
首を動かした。








アイツが素行の悪い奴か…。









……素行は悪い？








……常識がないの間違いじゃないか？









…………









…………









．









「 お疲れー。」



『お、隆二か。』



『 お疲れ様。』








俺の声に顔を上げた2人

俺がニッと口端をあげると
2人もゆっくりと笑みを見せた。









……あぁー、、可愛い。









朝会ったはずなのに
抱きしめたいと思うは何故だろうな。









俺は10年経っても、
何ら変わらない。









Aが好きで好きでしょうがない。









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