逃げ道は過酷なもの

やる気の源 ページ11

隆二side









転勤してから３日。

今日は、Aの家から出勤して
ちょっとだけ気分が良い。





“ いってらっしゃい。”





この言葉で俺はやる気100倍になる。

5駅先の本社は、いつもの時間より早く家を出なきゃ行けなくなった俺は、かなりのテンションを下げる原因の１つだけど、それすらも厭わなくなった。







『 なんや、気色悪いやっちゃな！ 』



「 なんとでも言って。」








俺のデスクの隣は健ちゃんで
それは今までとなんら変わらない。


んで、その健ちゃんのとなりには爽子がいた。







……A、寂しがってねーかな……。





今までずっと一緒だったのに
今や1人だろ……、


なんか素行の悪い奴が来るとかで
それまでは、俺らの営業所はAと直己部長が
３人分をカバーする羽目になったと聞いた。









『 ほな！今日は飲みに行こか！ 』



「 なんで？ 」



『 4人で！英雄の俺らがいないAを慰めてやらんとな！ 』



「 えー、俺2人が良いんだけど。」



『 爽子も寂しいんよ。あーみえて。』








上半身を少しだけ前に出すと
頬杖ついた爽子が肩で息をし大きなため息をついた。









「 ……電話してみる。」



『 頼むわ……転勤してからずっとこうやねん…… 』









…………、







………………、









仕事が一段落つき、
スマホを持って、自販機の前へと移動した。









《 もしもし？ 》



「 あ、、俺。」



《 うん、どうしたの？ 》









……やっぱ可愛いな……
なんつーか、癒されるというか……
声だけこでの後の仕事も頑張れるってもんだ。









「 夜さ、BLUE PLANET行かね？4人で。」



《 ……ごめん、今日残業なんだよね。 》



「 えっ、、マジか？ 」



《 うん、やっぱ３人がいないのが大きいよね。》



「 あー、、、なんかごめんな。」









電話越しで聞こえた笑い声に
少しだけ安心した。




俺がいなくても笑ってる……。








少しだけたわいも無い話をしてると
笑い声が大きくなった。









「 帰り迎えに行くよ。」



《 迎えに来ての間違いじゃない？ 》



「 ……そうかも。」



《 ははははっ、あんまり飲みすぎないでね。》



「 はーい。」



《 じゃ、またね。》









……今度はテレビ電話にしよ。
笑った顔が見たいし。









．

鶴の一声→←1人……じゃない。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す