逃げ道は過酷なもの

昔話 ページ1

貴女side









“ どこにも行かない？ ”




“ 行かない。”




“ 本当に？ ”




“ マジで。”




“ 私の事……好き？ ”




“ 好きだよ。”









優しい嘘は

あの時の私には





悲しすぎる嘘だったーーー。









“ 好きだから、別れよう。”








引き止めて欲しかった。
何が何でも離れないでほしかった。








そう願っても……







“ わかった。 ”









貴方は、そう言った。







自分から言ったし
仕方ないことだってわかってた。




高校生には辛すぎる病気との戦いは、
彼氏さえも苦しめることになると思ってたから。









それだけ貴方が大好きだった。

毎日お見舞いに来ては
たわいもない話をする。

それだけで私は、あの時生きてこれたと思う。







病気のこともあって
大きな病院へ転院すると決まった日…




私は人生で初めて大好きな人を失った。









．









『 えぇーー！それで初恋は終わったの！？ 』







あれから数年後、
私の病気は見事回復し今に至る。






高架下のサラリーマンの憩いの場の炭火焼肉店で
同僚の爽子と一緒にビールを飲みながら
アツアツのホルモンを頬張る。


女2人が集まったら
個人的な話からお互いの恋話に花を咲かせる。








『 で？ 』


「 で？ってなによ？ 」


『 今市とはどうやって会ったの？ 』


「 え、、それも言うの？ 」


『 気になるじゃーーん！ 高校から一緒で大学も一緒で付き合って何年よ？ 』


「 ……10年？ 」


『 ながっ！！ 』









隆二の出会いは……







別れた次の日だった……。









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