お弁当【 宮治 】

唇がくっつくまで ページ23

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治サイド









「こっち向いて」







そう言ったあと、俺は何言うとるんや…なんて心底思った。


こっち向いて何してもらうつもりやったんやろか。


……うん、わからへん。









「っ！！！」


『？…治くん、顔真っ赤やで』


「……近いねんけど」


『っあ、ご、ごめん…！！』









俺がこっち向け言うたのに、俺の方を向くAちゃんがすごく美人さんですぐ目を逸らした。


何故かいつにも増して綺麗に見えるのは、なんでやろか……。


不意にAちゃんの横顔を見たくなって、視線を横に戻した時、パッと目が合った。


ドキッと苦しくなる。








『…………お、治くん…ち、かい…』









そして、俺とAちゃんの唇が触れるまであと３センチの所で、ハッとした俺は止まった。









「す、すまん……」


『あ、うん…』









なんやろか。…Aちゃんが近くにおると、無性に触れたくなるのは。


気を抜いたら、そっと触れてしまいそうで。








「………腹減った」


『え！？今このタイミングで…』









Aちゃんを見るとお腹空くのも、なんか理由があるんやろか。





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