甘美な日々【ＨＱ短編集】

７．キス【岩泉一】 ページ8

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岩泉くんの部活が終わるのを待っていて、２人並んで歩いて帰る。


暗い夜道、恋人繋ぎをしながら。







『今日もお疲れ様』




「おう、ありがとな

いつも夜遅くまでわりぃな…」




『何言ってんの。私が好きで見てるんだから！』








そう言うと、フッて笑うのが相変わらず男らしい。


岩泉くんの手は大きくて暖かい。


そして歩くこと約１５分後、私の家の前に着く。


名残惜しく岩泉くんから手を離す。







『じゃあ、また明日。送ってくれてありがとう』




「…今日、してくんねぇのか？」




『え…？』




「え、っと、あの…キス…っつーか」







頬を染めてそう言う岩泉くんに、私までも頬を染めてしまう。


近付いて、岩泉くんのシャツを握って屈ませる。


…いつもはすんなりと出来るキスも、何故か今日は少し恥ずかしくて躊躇う。






「キスぐらいできねぇの？」






なんていかにも煽っている岩泉くんに、私もムキになる。





『できるから！』






私は背伸びをして、チュッと触れるだけのキスをした。


顔を離すと、更に顔を赤くする岩泉くん。







「…胸が苦しい・・・」




『え！？』




「…お前やっぱ、可愛いな。

誰にも渡したくねぇわ。じゃ、おやすみ」








そう言い残し、私の頭をポンッと撫でて歩いていった岩泉くん。


・・・今日は照れてばかりだ、私。

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