116 ページ16
.
セフニは真っ直ぐに私を見つめて答えを待っていた。
こんな大事なこと、すぐに決定してしまってはいいわけがない。
でも、直感でどうすべきかはわかっていた。
それがベストな選択だと言うことも。
「…ついて行って、いい？」
精一杯伝えた。
結婚するからとかじゃなくて、ただ私がセフニとずっと一緒に居たいと思ったから。
理由なんてそれだけで十分だと思った。
SE「…っ、ありがとう…！」
目に涙を沢山溜めて、少し困ったように笑ったセフニ。
どちらかともなく抱きしめあって、互いの体温を感じる。
細いけれどしっかりとしている大きな背中に腕を回せば、不安なんて全部飛んでいくみたいだ。
SE「結婚式も向こうで挙げよう。素敵な結婚式にするよ。」
「っ…！ありがとうっ…！」
優しく響く声に私も涙が溢れそうになった。
しばらく何を言うでもなく抱きしめ合って、その沈黙でさえ心地よいと思えるほど。
今はただ、この幸せを噛み締めていたいと思った。
.
次の日、会社に出勤して一番にベクと鉢合わせる。
BH「お、A。おはよ。」
「ベク、おはよ。」
挨拶を済ませて行こうとすると、じっと見つめられる。
それからニヤニヤしながら問いかけてきた。
BH「…なんかいい事あっただろ、どうせセフンさんとの事で。」
どうしていい事があった事がわかるんだろう。
幼馴染の勘ってやつだろうか。
「…まあ、あったはあった。」
BH「なんでそんなに煮え切らねーの。普通プロポーズされたらもっと喜ぶだろ。」
目を細めて考えるポーズをしたベク。
いや、なんでプロポーズされた事知ってるの。
「それと同時にアメリカ行くことがほぼ決まったんだよね。」
BH「はぁ！？聞いてねーし！」
目を見開いて、大声で叫ぶからびっくりした。
それに、慌てて荷物を落としそうになってる。
「言ってないもん。」
BH「…マジかよ、セフンさん独占欲ありすぎじゃね…。」
ぶつぶつと考えるように呟く。
「ちなみに転勤だからベクが考えてる変な事でアメリカ行く訳じゃない。」
BH「いや、それ本当なのかよ。マジで行くの？」
「たぶん。とりあえず挙式は向こうで挙げるからよろしく。」
BH「うわ、挙式とか泣きそう。新郎から花嫁奪うやつやっていい？」
「バカなの？」
ベクのアホな考えには付き合ってられないけど、こういう事も出来なくなると少し寂しい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nel_ | 作成日時：2019年12月15日 23時
