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その場が静まり返り、何か様子がおかしかったからゆっくりと目を開けてみる。
「え…セフンさん？」
私の手を握っていたのは、他でもないセフンさん。
ものすごい形相でサラリーマン達を睨んでるし、ただならぬ雰囲気だ。
「クソ、彼氏いたのかよ。可愛かったから抱きたかったのに。」
そう言って捨て台詞を吐いて散っていくサラリーマン達。
…どうしよう、本当に吐きそう。
SE「Aさん、大丈夫ですか…って、泣かないでください！どうしよう、とりあえず戻って落ち着きましょ？」
何故か手は震えて涙は止まらないし、嫌なことを思い出して本当に気分が悪い。
「あ、の…、助けてくれてありがとうございました、」
セフンさんは助けてくれたし何も悪くない、むしろ感謝すべき人なのに。
「…ごめんなさい、」
握られていた手の力が"男性"を物語っていて、全身が震え出す。
押し返すようにセフンさんの手を離してしまった。
…私がまだ過去から立ち直れていないだけなのに、セフンさんに迷惑をかけてしまうことが情けない。
SE「あ…、僕こそすみません。…Aさん、もう帰りましょう。家まで送ります。」
「いやっ、いいです！…オッパに来てもらいます。」
急いでスマホを取り出して震える手で連絡しようとするけれど、上手くいかない。
見かねたセフンさんが私のスマホを操作しようと手を伸ばしてくる。
…もちろん、親切心で。
SE「あの、僕がやります。貸してください。」
「触んないで！」
思わず大声で叫んでしまった。
はたから見たら震えながら泣いてる女とそれを慰める男の図にしか見えないこの状況で、そんなことを叫んでしまったら完全にカップルの喧嘩に見えるだろう。
そしてセフンさんを無視してスマホを握りしめてソアの元に向かう。
SA「え、ちょっとAどうしたの、」
泣いてる私を見てただ抱きしめてくれたソアはとても安心できる。
でも、男性全員が気持ち悪く見えて、自己嫌悪に陥る。
わかってる、みんな優しくていい人だ。
…でも、どうしても蘇ってしまう。
"男"ってみんな気持ち悪いんだって思ってた記憶がどうしようもなく私を支配する。
「…ギョンスオッパっ、に、迎えに来てもらうようにっ、連絡して…っ。」
息も絶え絶えな私はやっとそう伝えるとソアの胸で泣いた。
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作者名：nel_ | 作成日時：2019年10月18日 22時
