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腹いせにベクにパンチを繰り出す。
病人だからって容赦しない。
「こら〜ご飯冷めるから起きなさい〜！」
布団を剥がしベクの手首を引っ張っていると、だらんとしていたベクの手が私の手首を掴んだ。
そして布団に連れ込まれて、ベクが私に覆いかぶさる。
BH「油断しすぎ、A。」
見上げると目を細めて私を見つめるベク。
「ちょ…、退いて、」
こんなことされたの初めてだし、どうしたらいいか分からなくて目を逸らす。
BH「嫌だ、退いてあげない。」
天井から照らされる人工的な明かりとベクの綺麗に整った顔。
逆光でやけにギラギラしたベクの目に吸い込まれそうになる。
口元は綺麗に弧を描いていて、いつもみたいに四角くない。
BH「…あーもう、その上目遣い反則。我慢出来ない。」
突然糸が切れたみたいにベクが吐き出した。
BH「俺はこのままで終わらせる気ないから。」
ベクの細くて綺麗な指が私の両手首をまとめて頭の上でひとつにされる。
気付かなかったけど、ベクの手は意外と大きい。
「…何する気？」
BH「ずっとしたかったコト。」
短く答えてベクは目を瞑り顔を近づけてきた。
「え、ちょっと、やめて…！」
腕を振りほどこうにも力が強くて叶わない。
BH「…嫌？」
触れるか触れないか、ギリギリのとこ。
ベクの吐息がかかってくすぐったい。
そこで目を開いて私に問いかけてきた。
…嫌かと聞かれたら、困るんだけどな。
BH「無言は、してもいいって捉えるけど。」
「…それはダメ。」
BH「でもしたい。」
そうやって意思表示されちゃうと、"きゅん"というか、胸を掴まれたみたいで許しちゃいそうになる。
BH「Aさ、好きなやつ居るよな。」
「へ？」
突然の変化球を受け止める事なんて出来なくて、マヌケな声を出してしまった。
BH「ずっと見てたらわかるんだよ。…だからさ、そいつの代わりでいいよ、俺は。」
あまりにも悲しそうな顔で言った。
「…私好きな人なんていないし、変なこと言わないで。」
変にドキドキしてベクを退かそうとした時、玄関の方からノックとインターホンの音が聞こえた。
JM「Aちゃーんベッキョンくーん、迎えに来たよ〜。」
ふわふわしたジュンミョン部長の声がドアの向こうから聞こえた。
やった、助かった！
BH「…まだ出なくていいって。」
ベクがまだ退いてくれない。
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作者名：nel_ | 作成日時：2019年10月18日 22時
