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長い沈黙に感じた。
でも、こういう時なんて言うのが正解だったの？
「逃げるだなんて、そんな…言い方しないで。」
GS「…ふふ、冗談。」
いつもなら、オッパが何考えてるかわかってた。
でも、今はその大きな瞳が何を映して何を思うのか、全くわからない。
GS「ねえA、Aは必ず僕の所に帰ってくるよ。」
オフィスチェアに座っている私を後ろから抱き締めてくるオッパ。
…オッパ、それは兄妹の仲だからする行動だよね？
GS「…だって、僕はこんなにもAが好きだもん。」
…それは、兄妹としての感情だよね？
GS「…もちろん、僕はAのことを妹として見たことなんてないよ。」
頭の中が真っ白になる。
…こんなのおかしい。
昨日の気持ち悪いサラリーマンや、あの時の男の感覚を思い出して身体が震え出す。
腕を振りほどこうとすると、オッパは力を強めて耳元に口を近付けて囁く。
GS「やっと僕のこと男として見てくれたね。」
ニコニコ笑ってるオッパが、怖くて仕方がない。
早く、早く逃げたい。
GS「昨日だって、僕以外の男の事は怖いって思ってたよね。でも僕に対してはそうじゃなかった。それってつまり、僕のこと男だと思ってなかったってことでしょ？」
腕の力が強まった。
「…離して、」
GS「離したらA逃げるでしょ？」
「逃げないよ、」
GS「ふふ、いいよ。…でも、絶対にAは僕から逃げられない。」
力が緩まった瞬間、腕を振りほどいて必死で走った。
まだオッパの言葉が頭の中で響いて私を支配してる。
出来るだけ遠くて、安全なところに行かなきゃ。
でも、それってどこ？
今までオッパに頼りっぱなしで生きてきたから、どうすればいいかなんてわかんないよ。
幸いにもスマホだけはあるから、誰かしらに連絡がつかないことは無いだろうけど…。
逃げて、逃げて、とにかく必死で逃げた。
SE「Aさん！」
「え…？」
どれくらい経ったかわからない。
ここがどこなのかも分からなかったけれど、この声の主だけはわかった。
あれ、私幻聴でも聴こえてるのかな？
SE「…どうして、泣いてるんですか？」
手を差し伸べて涙を拭いてくれるセフンさんの手は温かい。
やけにリアルな幻だ。
SE「Aさん！しっかりしてください！」
「え…？」
…違う、これは幻覚でも幻聴でもない。
現実だ。
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作者名：nel_ | 作成日時：2019年10月18日 22時
